【DeLLphi-304】SCLCの2次治療にタルラタマブでOS改善、 死亡リスク40%低減
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HOKUTO編集部

7日前

【DeLLphi-304】SCLCの2次治療にタルラタマブでOS改善、 死亡リスク40%低減

【DeLLphi-304】SCLCの2次治療にタルラタマブでOS改善、 死亡リスク40%低減
プラチナ製剤ベースの化学療法による1次治療中または治療後に進行した小細胞肺癌 (SCLC) に対するDLL3・CD3二重特異性T細胞誘導抗体タルラタマブの有効性および安全性を、 標準化学療法と比較評価した第III相試験DeLLphi-304の主要解析の結果、 OSが有意に改善した。 米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのCharles M. Rudin氏が発表した。 同詳細はN Engl J Med.2025年6月2日オンライン版に同時掲載された¹⁾。

背景

2次治療でのタルラタマブの効果は不明

第II相試験DeLLphi-301において、 SCLCの3次治療以降におけるタルラタマブ単剤投与の有望な抗腫瘍活性と忍容性が示された。 第Ⅲ相試験DeLLphi-304では、 プラチナ製剤ベースの1次化学療法後に進行したSCLCを対象に、 タルラタマブの有効性および安全性が比較検証された。

研究デザイン

対象は1ラインの化学療法後に進行したSCLC509例

対象は1ラインのプラチナ製剤ベースの化学療法(抗PD-(L)1抗体併用の有無を問わない)後に進行が確認されたSCLC患者509例で、 無症候性で治療済みまたは未治療の脳転移を有する患者も適格とされた。

患者は以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。

  • タルラタマブ群 : 254例
(タルラタマブは1サイクル28日として、 1サイクル目の1日目に1mg、 8、 15日目に10mg投与し、 その後は2週間毎に10mgを投与)
  • 化学療法群 : 255例
(トポテカン、 ルルビネクテジン、 またはアムルビシンのいずれかを担当医が選択)

層別化因子は、 前治療における抗PD-(L)1抗体の使用の有無、 化学療法なしの期間 (<90日、 ≧90日~<180日、 ≧180日)、 脳転移の有無、 予定された化学療法の種類だった。

主要評価はOS、 副次評価にPFS等

主要評価項目は全生存期間 (OS) だった。 重要な副次評価項目は無増悪生存期間 (PFS) および患者報告アウトカム (PRO) だった。 その他の副次評価項目には、 客観的奏効率 (ORR)、 奏効期間 (DOR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 安全性が含まれた。

試験の結果

患者背景は両群で同様

患者背景は両群で概ね同程度だった。 前治療での抗PD-(L)1抗体の使用経験は両群とも71%、 ベースライン時に脳転移または肝転移が認められた割合はタルラタマブ群が44%、 化学療法群が45%だった。 DLL3発現率はそれぞれ95%、 93%だった。

OS中央値13.6ヵ月、 死亡リスク40%低減

OS中央値 (追跡期間中央値 : タルラタマブ群11.2ヵ月、 化学療法群11.7ヵ月) は、 化学療法群の8.3ヵ月に対して、 タルラタマブ群で13.6ヵ月と有意な改善が示された (HR 0.60、 95%CI 0.47-0.77、 p<0.001)。 12ヵ月時の推定OS率は、 タルラタマブ群で53%、 化学療法群で37%だった。 OS改善効果は、 事前に規定された多数のサブグループにおいても認められた。

PFS中央値4.2ヵ月、 ORR35%

PFS中央値はタルラタマブ群で4.2ヵ月、 化学療法群で3.7ヵ月だった (HR 0.71、 95%CI 0.59-0.86、 p<0.002)。 12ヵ月時の推定PFS率はそれぞれ20%、 4%だった。

ORRはタルラタマブ群で35% (95%CI 29-41%)、 化学療法群で20% (同 16-26%) だった (リスク比 1.73[同 1.29-2.33])。 またDOR中央値はそれぞれ6.9ヵ月 (95%CI 4.5-12.4ヵ月)、 5.5ヵ月 (同 4.2-5.7ヵ月) だった。

PROでは呼吸器症状スコアが有意に改善

PROの解析結果、 ベースラインから18週後の呼吸困難および咳の症状スコアが、 化学療法群と比較してタルラタマブ群で有意に改善した (呼吸困難 : 平均差 -9.14、 p<0.001;咳 : OR 2.04、 p=0.012)。 一方で、 胸痛に関しては、 両群間で有意差は認められなかった (OR 1.84、 p=0.1)。

Grade≧3のTRAEは低頻度

Grade 3以上の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は化学療法群の62%と比較してタルラタマブ群で27%と低く、 TRAEによる治療中止に至った割合もタルラタマブ群で低かった (3% vs 6%)。

タルラタマブ投与に伴うサイトカイン放出症候群 (CRS) は全体の56%に認められたが、 主に低Grade (Grade 1 : 42%、 Grade 2 : 13%、 Grade 3 : 1%) かつ管理可能だった。 また免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS) は6%に認められ、 CRSと同様に大部分が低Gradeだった。

結論

タルラタマブがSCLC2次治療の新たな標準治療に

Rudin氏は 「プラチナ製剤ベースの1次化学療法後に進行または再発したSCLCに対するタルラタマブは、 標準化学療法と比較してOS、 PFS、 PROを有意に改善した。 また良好な忍容性を示し、 Grade3以上のTRAE発現率が低かった。 DeLLphi-304試験の結果は、 SCLCに対する2次治療としてのタルラタマブを新たな標準治療として確立するものである」 と報告した。

出典

N Engl J Med. 2025年6月2日オンライン版


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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