HOKUTO編集部
4日前

心血管疾患を合併しない40歳以上のCOPD患者を対象に、 標準治療へのメトプロロール上乗せ効果を検証した第Ⅳ相非盲検無作為化比較試験BRONCHIOLEの結果から、 COPD増悪、 心血管イベント、 全死亡からなる複合主要評価項目の有意な減少は認められなかった。 スウェーデン・Örebro UniversityのJosefin Sundh氏が発表した。 同試験の詳細は、 NEJM Evid誌2026年9月6日オンライン版¹⁾に掲載された。
心血管疾患を有さないCOPD患者を対象とした観察研究では、 β遮断薬が増悪や心血管イベント、 死亡を減らす可能性が示唆されている。 一方、 これまでの無作為化比較試験では臨床的有用性が示されず、 一部では重症増悪の増加が懸念された。 いずれも早期中止され、 統計学的検出力が限られていた。
スウェーデンの多施設で実施された第Ⅳ相非盲検プラグマティック無作為化比較試験である。 対象は、 40歳以上で、 スパイロメトリーでCOPDが確認され、 洞調律かつ臨床的な心血管疾患を有さない患者だった。 1,695例が、 以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 無作為化後1年以内のCOPD増悪、 心血管イベント、 全死亡からなる複合エンドポイントの初回発生までの期間とした。
組み入れ時にスパイロメトリー、 CAT (COPD Assessment Test)、 心電図、 血圧などを評価し、 1ヵ月後に受診、 6ヵ月後に電話でフォローアップした。 1年後の終了時受診と全国レジストリとの照合により、 各イベントを追跡した。
複合エンドポイントの発生割合は、 メトプロロール群が27%、 標準治療群が30%であり、 有意な群間差は認められなかった (HR 0.87 [95%CI 0.73–1.05]、 p=0.14)。 Kaplan-Meier曲線も両群でほぼ重なって推移した。
主要評価項目の各構成要素および入院を要するCOPD増悪についても、 いずれも有意な群間差は認められなかった。
事前規定のサブグループ解析では、 主要評価項目のHRは女性0.70 (95%CI 0.56–0.88)、 男性1.28 (同0.94–1.74) で、 性別による交互作用を認めた (交互作用p<0.01)。 ただし、 本解析は仮説生成的であり、 慎重な解釈を要する。
一方、 安静時心拍数およびGOLD病期別の解析では、 明確な治療効果の差は認められなかった。
入院を要するCOPD増悪は、 HR 0.87 (95%CI 0.58–1.28) で、 メトプロロール追加による有意な増加は認められなかった。 ただし、 有害事象の詳細や投与中止率、 服薬遵守率は本発表では示されていない。
なお同時掲載論文では、 重篤な有害事象はメトプロロール群の9.4% (848例中80例)、 標準治療群の7.8% (847例中66例) に認められ、 非重篤な有害事象はそれぞれ34.6% (293例)、 29.2% (247例) に認められたと報告されている¹⁾。
Sundh氏らは、 「臨床的に明らかな心血管疾患を有さないCOPD患者では、 メトプロロールはCOPD増悪、 心血管イベント、 全死亡からなる複合アウトカムを有意に減少させなかった。 一方、 重症増悪は増加せず、 この集団における心選択的β遮断薬の呼吸器系の安全性が支持された」 と結論付けた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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