海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
山本氏らは、 再発/難治性多発性骨髄腫 (MM) を対象に、 BCMA標的CAR-T細胞療法の費用対効果についてマルコフモデルで検討した。 その結果、 同疾患に対するCAR-T細胞療法は現価格においても費用対効果は短期的にはあるものの、 長期的な疾患コントロールには課題が残った。 本研究はTransplant Cell Ther誌において発表された。
本研究にあるように費用対効果研究の結果は、 モデルやその仮定に依存します。 したがって、 結論ありきではなく、 本研究の場合にはその仮定の大きな因子である無増悪生存期間に注目していく必要があります。
Ide-cel (Idecabtagene vicleucel)
Cilta-cel (Ciltacabtagene autoleucel)
【Lancet Oncol】BCMA標的の新規CAR-T療法が再発・難治性MMで奏効
BCMA標的CAR-T細胞療法は有望な治療成績を示しているが、 これまでに開発されているMM治療法の中で最も高額であり、 その費用対効果は重要な問題である。
日本および米国でプロテアソーム阻害薬、 免疫調整薬、 抗CD38モノクローナル抗体を含む治療を3ライン以上受けたMM患者
マルコフモデルを構築し、 以下の2群を比較した。
解析にはLocoMMotion、 KarMMa、 CARTITUDE-1の3試験のデータを抽出した。 CAR-T細胞療法による無増悪生存期間 (PFS) についてはいくつかの仮定を設置し、 対照群については、 広範なシナリオ分析を行った。
willingness-to-pay (WTP) の閾値
CAR-T群と化学療法群との増分費用効果比 (ICER)
日本では750万円、 米国では15万ドル (約2,200万円) であった。
ide-celの5年PFSを15%と仮定した場合
日本 : 10年QALYあたり2,038万8,711円
米国 : 10年QALYあたり26万1678ドル (約3900万円)
cilta-celの5年PFSを40%と仮定した場合
日本 : 10年QALYあたり760万3,823円
米国 : 10年QALYあたり11万2,191ドル (約1,600万円)
再発/難治性MMに対するBCMA標的CAR-T細胞療法の費用対効果は、 短期的には認められる。 しかし、 この結果はPFSの仮定に大きく依存しており、 長期的なPFSの実現については課題が残されている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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