HOKUTO編集部
2年前
急性虫垂炎は小児期において一般的な緊急手術を要する疾患であり、 その早期診断は重要な課題です。本稿では、 小児の急性虫垂炎の診断予測に焦点を当て、 最新の研究成果と臨床予測ルールを組み合わせたアプローチを提示します。
Pediatric Appendicitis Score (PAS) は、小児の虫垂炎を評価するための臨床スコアである。 このツールは、2002年にSamuelらによって開発された¹⁾。 PASは、小児の虫垂炎の疑いがある場合に、救急外来で迅速かつ正確に評価するために利用される。
PASは以下の8項目から構成されており、それぞれに点数が割り当てられる。
4~15歳の1,170名の小児を前向きに評価し開発された¹⁾。 その後、 1~17歳の849名の小児を対象として、 再度前向きな検証が行われた²⁾。
その後、2016年にGoldmanらによって、診断アルゴリズムを導入することで小児の虫垂炎の診断におけるCT利用率の減少が報告された³⁾。
アルゴリズムの感度 98.6%、 特異度は 94.4%で、 CT利用率は75.4%から24.2% に減少した。
日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』では、 PAS (Pediatric Appendicitis Score)やAlvarado/MANTRELSスコアの利用の有用性について記載されている (推奨度C1)。
【引用】小児に使用されるスコアリングは、AlvaradoScoreとPediatric AppendicitisScoreが代表的である。スコアリングは症状の評価として有用であるが、正診率が低く虫垂炎の診断に用いることは困難である。初期診療でスコアリングを用いることは、虫垂炎疑診例を帰宅させるための評価として有用であり、画像検査など二次評価を開始する際のスクリーニングに使用することが適切である。(推奨度C1)
PASは、 小児の虫垂炎の評価において有用であるが、 他の診断法と併用して最終的な診断を行うことが重要である。 スコアが3~6点の場合、 観察や超音波検査、 CTなどの追加検査が必要であることに注意する。
🔢 PAS (Pediatric Appendicitis Score)
1) Pediatric appendicitis score. J Pediatr Surg. 2002 Jun;37(6):877-81. PMID: 12037754
4) 日本小児救急医学会『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017』
最終更新:2023年4月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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