海外ジャーナルクラブ
1年前
Schmitzらは、 非浸潤性乳管癌 (DCIS) の女性患者を対象に、 DCISの腫瘍径および切除断端の状態と、 治療後の同側浸潤性乳癌および同側DCISへの進展リスク、 ならびに同側浸潤性乳癌の病期およびサブタイプとの関連性を国際統合コホート研究で検討した。 その結果、 DCISの腫瘍径および切除断端の状態と、 同側浸潤性乳癌および同側DCISのリスクとの関連は小さいことが示唆された。 本研究は、 BMJ誌において発表された。
本文のlimitationに記されていますがデータが少し古く、 初期の12,000程度の病理結果からは2人の研究者による手作業でデータ抽出がなされたようです。
オランダ、 英国、 米国で行われた4つの大規模コホート研究を統合解析した。
1999~2017年に原発性DCISと診断され、 乳房温存術または乳房切除術のいずれかの手術を受け、 術後に放射線療法または内分泌療法、 あるいはその両方が行われた女性患者:4万7,695例
同側浸潤性乳癌および同側DCISの10年累積発生率
乳房温存術を受けた女性において、 腫瘍径がより大きいDCIS (20~49mm) は20mm未満のDCISと比較し、 同側DCISの補正後リスクのみ有意に増加した。
HR:1.38 (95%CI 1.11-1.72)
切除断端陽性の患者は、 同側浸潤性乳癌・同側DCISのリスクが高かった。
浸潤性乳癌のHR:1.40 (95%CI 1.07-1.83)
DCISのHR:1.39 (95%CI 1.04-1.87)
術後補助内分泌療法は、 乳房温存手術のみによる治療と比較して、 同側浸潤性乳癌のリスク低下と有意な関連は認められなかった。
HR 0.86 (95%CI 0.62-1.21)
放射線療法施行の有無にかかわらず、 乳房温存療法を受けた女性において、 DCISのGradeの高さは同側浸潤性乳癌と有意に関連はしなかったが、 同側DCISのリスクは高かった。
Grade 1でのHR:1.42 (95%CI 1.08-1.87)
Grade 3でのHR:2.17 (95%CI 1.66-2.83)
診断時の年齢が高いほど、 同側DCISの1年当たりのリスクは低く、 同側浸潤性乳癌のリスクとの関連は認められなかった。
同側DCISの1年当たりのHR:0.98 (95%CI 0.97-0.99)
同側浸潤性乳癌のHR:1.00 (95%CI 0.99-1.00)
腫瘍径が≧50mmのDCISは、 <20mmのDCISと比較してStage Ⅲ・Ⅳの同側浸潤性乳癌を発症する割合が高かったが、 切除断端陽性と陰性との比較ではそのような関連は見られなかった。
DCISの腫瘍径とホルモン受容体陰性HER陽性同側浸潤性乳癌、 切除断端陽性とホルモン受容体陰性同側浸潤性乳癌との間には関連が認められた。
DCISの腫瘍径および切除断端の状態と、 同側浸潤性乳癌・同側DCISのリスクとの関連は小さく、 これらの2因子を既知のリスク因子に加えた多変量モデルでは、 臨床病理学的リスク因子のみでは低リスクDCISと高リスクDCISの鑑別に限界があることが判明した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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