HOKUTO編集部
12ヶ月前
普段から臨床現場で利用する薬剤でも発生し得る「重症薬疹」についてまとめました。
①SJS:スティーブンス・ジョンソン症候群
発熱と眼粘膜、口唇、外陰部などの重症の粘膜疹を伴い、紅斑と表皮の壊死性障害に基づく水疱・びらんを特徴とする。 医薬品のほかウイルスなどが原因とされる。
②TEN: 中毒性表皮壊死症
SJS・TENは一連のスペクトラム疾患とされる。 本邦では体表面積10%未満をSJS、10%を超えるとTENとするが、 国際基準では10~30%をSJS/TENオーバーラップと呼ぶ。
③DIHS/DRESS: 薬剤過敏症症候群
皮疹に加え、 臓器障害、 好酸球増多、リンパ節腫脹を伴う薬剤過敏性反応。 DIHSはヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)の再活性化を特徴とする。
SJS/TENは抗菌薬、 解熱消炎鎮痛薬、 抗痙攣薬、 痛風治療薬、 サルファ剤、 消化性潰瘍薬、 催眠鎮静薬・抗不安薬、 精神神経用薬、 緑内障治療薬、 筋弛緩薬、 降圧薬など広範囲にわたるが、DIHSは比較的限られている¹⁻³⁾。
原因薬剤服用後、 SJS/TENは2週間以内、 DIHSは2~6週間で発症することが多い¹⁻³⁾。
副作用発現頻度は人口100万人当たりSJSは1~6人/年、 TENは0.4~1.3人/年、 DIHSは原因医薬品使用者の0.01~0.1%。 いずれも自然発症の頻度は明らかでなはい¹⁻³⁾。
❶速やかに被疑薬中止し、専門医紹介
この疾患の治療に経験を積んだ臨床医チームにコンサルトすべき疾患である。
❷薬物療法の基本はステロイド全身投与
急性期にはプレドニゾロン換算で、 中等症は 0.5~1mg/kg/日、 重症例は1~2mg/kg/日、 最重症例はメチルプレドニゾロン500mg~1g/日(3日間)のパルス療法から開始し、 症状に応じて適宜漸減する。
❸創傷ケア
SJSは皮疹部と口唇・外陰部粘膜の局所処置、 TENは熱傷に準じた治療を要することが多い。
❹その他の支持療法
補液・栄養管理による全身管理、 炎症反応抑制、 病変部からの感染予防、 厳重な眼科管理など。
❶速やかに被疑薬中止し、専門医紹介
この疾患の治療に経験を積んだ臨床医チームにコンサルトすべき疾患である。
❷薬物療法の基本はステロイド全身投与
プレドニゾロン換算で0.5~1mg/kg/日から開始し、 適宜漸減する。 急激な減量はHHV-6の再活性化とそれによる症状の再燃を増強するおそれがあると考えられており、 比較的ゆっくり減量することが望ましい。
❸臓器障害のモニタリング
臓器障害を伴わないDIHSに対するステロイドのエビデンスは限られている。 多くは局所ステロイドによる対症療法で良いとされる。
❹その他の支持療法
症状緩和やスキンケア、 各臓器補助的治療など。
📘重症多形滲出性紅斑 スティーヴンスジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン
最終更新:2023年12月3日
監修医師:HOKUTO編集部医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。