海外ジャーナルクラブ
16日前
Turnerらは、 PIK3CA遺伝子変異陽性、 ホルモン受容体 (HR) 陽性、 HER2陰性の進行乳癌の1次治療において、 パルボシクリブ+フルベストラントに対するPI3Kα阻害薬inavolisibの上乗せ効果を第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験INAVO120で検討した。 その結果、 inavolisibの上乗せにより、 無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が示された。 本研究は、 NEJM誌にて発表された。
HR陽性HER2陰性の進行性または転移性乳癌の治療薬として現在承認されている3種類のCDK4/6阻害薬のうち、 1種類 (パルボシクリブ) のみの使用を評価するようにデザインされていた点はlimitationと言えます。
Inavolisibは、 ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ複合体のp110α触媒サブユニットのαアイソフォームに選択的に作用する薬剤で、 PIK3CA変異を有する進行乳癌患者において抗腫瘍効果が期待されている。 本剤は初期臨床試験において、 パルボシクリブおよびフルベストラントと併用することで有望な結果が示されている。
対象はPIK3CA遺伝子変異陽性、 HR陽性、 HER2陰性の局所進行性または転移性乳癌で、 術後補助内分泌療法中または終了後12ヵ月以内に再発した患者で、 以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 治験責任医師の評価によるPFSとされた。
PFS中央値はinavolisib群で15.0ヵ月 (95%CI 11.3-20.5ヵ月)であり、 プラセボ群の7.3ヵ月 (95%CI 5.6-9.3ヵ月) に比べて有意に延長した (病勢進行または死亡のHR 0.43、 95%CI 0.32-0.59、 p<0.001)。
また、 客観的奏効割合はinavolisib群で58.4%であり、 プラセボ群の25.0%に比べて高かった。
Grade3または4の有害事象 (AE) の発現率は以下の通りであった。
好中球減少
高血糖
口内炎/粘膜炎
下痢
AEによる試験薬中止の割合は、 inavolisib群で6.8%、 プラセボ群で0.6%であった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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