HOKUTO編集部
6日前

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2026) が、 10月23~27日にスペイン・マドリードで開催される。 泌尿器腫瘍ではPresidential Symposiumに2演題が採択された。 本稿では、 Presidential Symposiumおよび口演に採択された泌尿器腫瘍の演題のうち、 第Ⅲ相試験に絞って編集部が選んだ10演題を、 前立腺癌、 膀胱癌・尿路上皮癌、 腎細胞癌に分けて開幕に先立って予告する。
限局性の超高リスク前立腺癌を対象に、 アンドロゲン除去療法 (ADT) と根治的または救済的な局所領域放射線療法に、 抗アンドロゲン薬ダロルタミドを上乗せする意義をプラセボと比較した国際共同第Ⅲ相試験の中間解析である。 転移例では同系統の薬剤の上乗せが確立しているが、 限局例でどこまで治療を強化するかは議論が続いてきた。 超高リスク例に絞って上乗せを検証した点が特徴で、 Presidential Symposiumに選ばれた1演題である。
高リスクの限局性または局所進行前立腺癌を対象に、 根治的前立腺全摘除術+骨盤リンパ節郭清の前後にアパルタミドとADTを行う群と、 手術のみを行う群を比較した第Ⅲ相試験の付随研究である。 手術前後の薬物療法の意義を検討するもので、 放射線療法への薬剤追加を検証する❶DASL-HiCaPとともに、 局所療法と薬物療法の組み合わせを考えるうえで注目される。
初発の転移性去勢感受性前立腺癌を対象に、 標準治療にアビラテロン+プレドニゾンを上乗せする意義を検証した第Ⅲ相試験の長期全生存期間 (OS) 解析である。 本試験は2×2要因デザインで放射線療法の上乗せも同時に検証しており、 初発転移例における治療強化の設計を国際的に方向づけてきた。 長期追跡により、 治療強化の効果がどこまで持続するかが示される。
PTEN欠損の初発転移性ホルモン感受性前立腺癌を対象に、 ADT下でカピバセルチブ+アビラテロンをプラセボ+アビラテロンと比較した第Ⅲ相試験の全生存期間 (OS) 更新解析である。 カピバセルチブは国内では乳癌で承認されており、 前立腺癌では未承認である。 バイオマーカーで患者を絞ったPI3K/AKT経路標的治療について、 OSのアップデート成績が注目される。
シスプラチン不適格またはシスプラチンを拒否した筋層浸潤性膀胱癌を対象に、 周術期デュルバルマブ±トレメリムマブと、 Nectin-4を標的とする抗体薬物複合体 (ADC) エンホルツマブ ベドチンの術前併用を、 根治的膀胱全摘除術±承認済み術後補助療法と比較した第Ⅲ相試験である。 国内でも周術期治療の選択肢が限られる集団にあたる。 中間解析では両実験群でEFSが有意に改善し、 トレメリムマブ非併用群ではOSも有意に改善したことが企業から公表されており、 詳細な成績が注目される。 Presidential Symposiumに選ばれた1演題である。
シスプラチン適格の筋層浸潤性膀胱癌を対象に、 術前のシスプラチン+ゲムシタビンにペムブロリズマブを上乗せし、 術後も継続する周術期治療をプラセボと比較した第Ⅲ相二重盲検試験である。 筋層浸潤性膀胱癌の周術期治療は複数の試験が並行して読み出される段階にある。 本試験は主要評価項目のEFSで有意な改善を示さなかったことが企業から公表済みであり、 pCR率や安全性を含めた詳細な成績が注目される。
cT2~T4aN0M0の筋層浸潤性膀胱癌を対象に、 術前のゲムシタビン+シスプラチンにニボルマブを併用し、 術後もニボルマブを継続する治療を、 術前化学療法単独と比較した第Ⅲ相試験 (CA017-078) の最終解析である。 ❻KEYNOTE-866と同様に、 周術期の免疫チェックポイント阻害薬追加の意義を検討している。 公開抄録では主要評価項目のEFSとpCR率はいずれも有意な差を認めておらず、 発表ではctDNAなどのサブグループ解析も示される予定である。
未治療の進行淡明細胞型腎細胞癌を対象に、 ペムブロリズマブ+レンバチニブにHIF-2α阻害薬ベルズチファンを加える3剤併用と、 ペムブロリズマブと抗CTLA-4抗体quavonlimabの配合剤MK-1308A+レンバチニブを、 対照のペムブロリズマブ+レンバチニブと比較した無作為化非盲検第Ⅲ相試験である。 国内の1次治療は免疫チェックポイント阻害薬とチロシンキナーゼ阻害薬の併用が標準で、 そこに作用機序の異なる薬剤を重ねる設計である。 いずれの実験群も主要評価項目のPFS・OSで対照群に対する有意な改善を示さなかったことが企業から公表済みであり、 有効性と安全性の詳細が注目される。
抗PD-(L)1抗体による治療後の進行腎細胞癌を対象に、 ベルズチファン+レンバチニブとカボザンチニブを比較した第Ⅲ相試験の最終解析である。 ベルズチファンは国内でも、 がん化学療法後に増悪した根治切除不能または転移性の腎細胞癌に対する単剤療法として承認されており、 2次治療以降の選択肢として位置付けが定まりつつある。 実薬対照であるカボザンチニブとの直接比較で最終成績が示される点に意味がある。
術後再発リスクが中~高度または高度、 あるいは原発巣と転移巣の完全切除後に病変を認めない淡明細胞型腎細胞癌を対象に、 術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第Ⅲ相試験の事前規定最終解析である。 本試験では無病生存期間と全生存期間の改善が報告され、 国内でも術後補助療法として承認されている。 最終成績を通じ、 治療の長期的な有効性と安全性、 適切な患者選択に関する知見が注目される。
本稿に採らなかった演題のうち、 膀胱癌では周術期治療のバイオマーカー解析 (KEYNOTE-B15のctDNA解析、 NIAGARAの分子サブタイプ解析) とシスプラチン不適格例の検討 (KEYNOTE-905)、 筋層非浸潤性膀胱癌へのデュルバルマブとBCGの併用 (POTOMAC) が示される。 前立腺癌では液体生検による相同組換え修復 (HRR) 関連遺伝子変異の判定 (PROMPT) とTALAPRO-3のctDNA・患者報告アウトカム解析、 腎細胞癌ではオリゴ転移例への周術期ペムブロリズマブ (PE-PE) と乳頭状腎細胞癌へのカボザンチニブ±アテゾリズマブ (SWOG S2200) が並ぶ。
ESMO 2026における泌尿器腫瘍の注目演題は、 がん研有明病院先端医療開発科の竹村弘司先生にご解説いただく予定です。

HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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