国立がん研究センターは、 国が指定する癌診療連携拠点病院等 (以下 「拠点病院」 という) を含む院内癌登録実施施設から収集した院内癌登録データを用いて、 2012年登録の10年生存率およびサバイバー5年生存率の集計結果を報告書にまとめ公表した。 サバイバー5年生存率の集計は今回初となる。
10年生存率
概要
2012年登録の院内癌登録データを提出した拠点病院およびその他の院内癌登録実施施設 (拠点外病院) の361施設から10年予後情報付きの腫瘍データ54万3,081例が収集、 集計された。
結果
- 2012年の全癌の実測生存率*は46.6%、 純生存率**は54.0%であった
- 10年間の経過をみるため、 癌によっては年齢階級別の実測生存率と純生存率に大きな差がみられた。 これは年齢が高くなるほど、 癌以外の原因で亡くなる確率が高くなることが影響していると考えられた
* 実測生存率 : 死因に関係なく、 全ての死亡を計算に含めた生存率で、 診断例に対する何年後の生存患者の割合で示される
** 純生存率 : 期待生存率を算出することなく純粋に 「癌のみが死因となる状況」 を仮定して、 実測生存率に重み付けをしたもの
特別集計 : サバイバー5年生存率
概要
今回収集したデータを用いて、 主な癌種の病期別サバイバー5年生存率***が算出、 特別集計として初めて報告書にまとめられた。
*** サバイバー5年生存率 : 診断日からの経過日数ごとに、 そこからある期間 (5年間) を生きる確率を示したもの
結果
- 治療による根治がより期待できる病期 (I・II期) では、 多くの癌種でサバイバー5年生存率はほぼ横ばいになるが、 進行期 (III・IV期) では1年生存するほど5年生存率が改善する傾向がみられた
小細胞肺癌

非小細胞肺癌

(国立がん研究センター発表データを基に編集部作成)
- その一方で乳癌は、 どの病期でもサバイバー5年生存率はほぼ横ばいであることから、 長期の治療と経過観察が必要なサブタイプがあることを反映していると推測された
乳癌

(国立がん研究センター発表データを基に編集部作成)
- 同じ癌種・病期であっても年齢やその他の因子によって予後が異なる点に注意が必要だが、 癌種や病期によっては 「診断後1年以上生存した場合の5年生存率」 は、 診断時よりも改善する傾向にあることが示された
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