海外ジャーナルクラブ
2年前
Hamdyらは、 50〜69歳の限局性前立腺癌患者を対象に、 治療別の長期転帰を比較するランダム化比較試験ProtecTを実施 。 その結果、 いずれの治療法を用いても前立腺癌に関する死亡率が低いことが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。
1999年に始まり15年間の長期転帰をとらえたRCTですが、 その長期にわたる研究期間の結果、 例えば現在ではMRIアセスメントを使用してモニタリングしたりとその当時とmanagementが変わってしまっていることが最大のlimitationになります。 本研究は、 長期アウトカム研究に潜むリスクを炙り出している、 とも言えると思います。
50〜69歳の限局性前立腺癌患者
患者は以下の群にランダムに割り付け。
前立腺癌による死亡
全死因死亡、 転移、 病勢進行、 長期アンドロゲン除去療法の開始
前立腺癌による死亡は45例 (2.7%) に認められた (全体比較のP=0.53)。
全死因死亡は21.7% (356例) に発生し、 3群とも同数であった。
転移
長期アンドロゲン除去療法
病勢進行
積極的監視群では、 24.4% (133例) が追跡調査終了時に前立腺癌の治療を受けることなく生存していた。
試験開始時点のPSA値、 腫瘍のステージやグレード、 リスク層別化スコアとの関連で、 がん特異的死亡率に差のある影響は認められなかった。
10年後の解析でも、 治療合併症は報告されなかった。
前立腺癌に関する死亡率は、 治療法によらず低いことがわかった。 したがって、 治療法の選択は、 限局性前立腺癌の治療法に関連する利益と有害事象のトレードオフを考慮する必要がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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