海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

Petersonらは、 HPV陽性の口腔咽頭扁桃扁平上皮癌患者を対象に、 予防的な対側扁桃摘出の有無が転帰に与える影響を、 後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 両側切除群は片側切除群に比べ術後合併症が多く、 両群で生存率などに差は見られなかったことが明らかとなった。 本研究は、 JAMA Otolaryngol Head Neck Surg誌において発表された。
データ補完および術者間の一貫性によって選択バイアスは一定程度軽減されていますが、 後ろ向きデザインや術中手技のばらつきといった限界の影響を完全に排除することは困難です。
ヒトパピローマウイルス (HPV) 関連の口腔咽頭扁桃扁平上皮癌 (SCC) の中で、 口蓋扁桃は最も頻度の高い発症部位である。 経口ロボット手術 (TORS) が広く用いられるなか、 臨床的に腫瘍を認めない対側扁桃を予防的に切除すべきかどうかは依然として議論が分かれる。 特に、 術後合併症のリスクと、 対側の二次原発腫瘍発生率とのバランスを評価する必要がある。
後ろ向きコホート研究の対象は、 2016年6月-23年7月に、 四次医療施設でTORSを受けたHPV陽性片側扁桃SCC患者であった。 片側TORS群では、 腫瘍側の根治的扁桃摘出、 両側TORS群では、 腫瘍側の根治的扁桃摘出+対側の被膜外扁桃摘出が行われた。
主要評価項目は、 術後の口腔咽頭出血発生率であった。 副次評価項目には、 術後救急外来受診/入院率、 経鼻胃管抜去までの期間、 経鼻胃管留置での退院率、 胃瘻依存率、 対側扁桃への二次原発腫瘍発生率、 入院期間、 2年および5年無病生存率 (DFS) と全生存率 (OS) が含まれた。
158例 (片側群106例、 両側群52例) が対象となり、 平均年齢60 (SD 10) 歳、 女性18例、 男性139例であった。
術後の口腔咽頭出血率は片側群が7%であったのに対し、 両側群では15%であり、 群間差は-7.8%㌽ (95%CI -18.8%㌽~3.2%㌽) と有意に高率だった。
術後30日以内の救急外来受診/入院率も同様に、 片側群が9%であったのに対し、 両側群は21%、 群間差は-11.7%㌽ (95%CI -24.1%㌽~0.7%㌽) と高かった。 入院期間中央値も片側群が2日であったのに対し、 両側群は3日と長かった。 嚥下機能、 DFS、 OSは両群間に有意差は認められなかった。
対側扁桃への二次原発腫瘍は全体で3例 (1.9%) に認められ、 片側群で2例 (異時性原発腫瘍)、 両側群で1例 (手術時に偶然摘出された同時性原発腫瘍) だった。
著者らは、 「HPV陽性の扁桃SCCにおいて、 予防的な対側扁桃切除を省略することは安全であり、 生存率を損なうことなく、 術後出血や疼痛管理のための術後救急外来受診、 および入院期間の短縮傾向と関連していたことが示された。 対側扁桃の予防的切除は、 明確な利益は認められず、 患者への不利益を増加させる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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