HOKUTO通信
1年前
「医師たる者には全て医師会活動に参画してほしい」。 日本医師会の松本吉郎会長は定例記者会見でこう述べた。 ともすれば非会員の反感を買うような発言の狙いは何なのか。
厚労省によると、 医師数は2020年12月末時点で約34万人。 日医の会員数は約17万4000人 (2021年12月時点、 開業医8万3000人、 勤務医9万1000人) で、医師の半数が加入している。
日医は最重要課題の1つとして、 組織力の強化を掲げる。 現在臨床研修医が対象となっている会費の減免について、 2023年度から医学部卒後5年間まで拡充する。
「医師に縁遠いと思われがちな医師会の活動を自分のこととしてとらえてもらうためには、 まず活動を体験してもらうことが第一歩」 との狙いからだ。
さらに全国各地から役員を登用する方針で、 早ければ6月にも、 現在10人の常任理事を4人増やす。
こういった一連の組織力強化の狙いは 「国民視点に立った医療の実現」 にあるという。 日医と地方の医師会の連携をより深め、 現場の声を踏まえた政策提言を行うことで 「医師の期待に答えられる医師会、 国民の信頼を得られる医師会へつながるように努力する」 (松本会長) 。 それには「加入率の底上げは欠かせない」 (関係者) という。
医師会に加入すると、 医師会が携わる各地の講習会や研修会に参加し、 他の医師とのつながりを構築できる。 医師会が受託している健診事業などに参加し、 診療以外の収入源も得られるなどのメリットもある。
ただ、 日医の存在意義や加入メリットなどを疑問視する医師は少なくない。東京都内のある医師は 「コロナ禍で日本医師会が発した提言は的はずれなものばかりで、 呆れた勤務医は多かった」 とした上で 「コロナ最前線にいる医療従事者からすると『医師会は 何も分かっていない』という印象が強まったのでは」 と明かす。
「高い会費に見合うメリットがない」 とこぼす開業医もいる。 「地区医師会に入会」 → 「都道府県医師会に入会」 → 「日医に入会」 のステップを踏む必要があり、 日医が会費の減免制度を拡充したとしても、 同時入会には数十万円単位のお金がかかるというケースも多い。
医師会に加入した医師は、 救急病院の休日当番医や、 介護保険認定審査会などの公益活動を担う役割を求められることがあり、 自院の診療以外の活動が増える可能性は高い。
こうした活動を負担と感じる医師もいるというが、 松本会長は会見で 「地域に根ざした活動はかかりつけ医が中心に担っており、地域の医師会が深く関与して運営している」 とした上で、 「日本の全ての医師は医師会に入会し、 地域にどっぷり浸かる活動をするか、 専門医として地域密着の医師と連携してほしい」 と強調した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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