寄稿ライター
22日前
医局ウォッチャーこと、 コアライ ミナトです。 連載17回目のテーマは 「教授の退官と、 自分の退局のタイミング」。 教授の退官前、 退官と同時、 退官後の3パターンに分けて、 それぞれのメリット・デメリットを解説します。
「医局員として勤め上げるつもりはないんだよな。 教授の定年が近付いてきたし、 どうしようか」。 医局員であれば、 こんなことを考えたことがある先生も多いでしょう。
多くの人がまず考えるのは、 「教授の退官に合わせて自分も対局する」 ことでしょうか。 このパターンは、 周囲からの見栄えが良いことが最大のメリットといえます。
「最後まで教授にお仕えし、 そこから新たな道に踏み出したいと考えています」 ――。 確かにきれいな言い分で、 退官する教授を含めて文句は出にくいでしょう。
デメリットは、 退官に絡んだゴタゴタに巻き込まれることです。 多くの医局は、 退官の数年前から慌ただしくなります。
まず 「教授退官の花道に」 と、 学会などの主催が増えてきます。 その準備に駆り出されたり、 接待をしたり、 寄付という名の集金があったり…さらに退官セレモニーも行われ、 時間と労力と金銭が取られます。
人事異動もゴタゴタの一つです。 この時期は結構強引な異動が起こりやすいです。 「気になりつつも先延ばしになっていた人員配置」 や 「宙ぶらりんになっていた口約束」 を最後にスッキリさせておこうというわけですね。
教授の退官まで仕えることは、 これらのゴタゴタをマルっと被ることになります。
退官の少し前に辞めるメリットは、 上記のようなゴタゴタを避けることができる点です。 実際、 退官の数年前から退局者が増えがちです。
「面倒事はゴメンなので、 その前にさっさと辞めてしまおう」
というほど、 徹底した考えの人は少ないです。 ただ、 元々不満を抱えていたり、 いずれは辞めようと思っていたりしていた人が、 ゴタゴタ絡みの理不尽を押し付けられそうになり、 「それならば今辞める!」 と決心するわけですね。
もう一つのメリットは、 転職活動がしやすい点です。 「数年内に転職できればいい」 と 「教授の退官にあわせてピンポイントで転職しないといけない」 では、 難易度がまるで違います。 内定は年単位で保持しておけるものではなく、 時期が限定されると選択肢が減ってしまいます。
一方、 デメリットは見栄えが良くないことです。 医局としての一区切りを前に辞めることは、 「最後までご奉公しません」 と表明したようなもの。 教授への不満とも取られかねません。
最後は、 「新しい教授になって数年様子をみてから考える」 というパターンです。
この場合、 そもそも辞める可能性が高くないとうに感じます。 実際、 体制が変わってからの数年間で、 医局員がアクションを起こすことは極端に少ないです (新しい教授が、 古参のスタッフを追い出すということはありえますが)。
教授の退官と、 自らが医局を辞めるタイミングについて解説してきました。 医局との関係性とキャリア形成を天秤にかけたうえでの決断になります。
個人的には、 退局の意思があるのであれば、 「早いうちからゆるく転職活動を始めておき、 良いポストが見つかったら自分のタイミングで退局に向けて動き出す」 がいいのではないかと考えます。
さて、 今回は以上です。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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