海外ジャーナルクラブ
1年前
Ryanらは、 腎細胞癌の外科的全切除を受け、 再発リスクが高い成人患者を対象に、 mTOR阻害薬エベロリムスを術後投与した際の有効性を、 第Ⅲ相二重盲検無作為化試験EVERESTで検討。 その結果、 エベロリムスはプラセボと比較して無再発生存期間 (RFS) を改善しなかった。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
P値での言及は困難ですが、 事前に設定したp値が0.044であり、 今回の検討結果はp=0.051で否定されています。 超高リスク群では差があり、 エベロリムスはさらなる評価を受けるべき薬剤と言えます。
腎細胞癌の切除を受けた患者は、 疾患再発のリスクがある。
米国398施設で、 腎細胞癌の外科的全切除を受け、 再発リスクが高い成人患者:1,545例
患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
RFS
追跡期間中央値76ヵ月 (IQR 61-92) におけるRFSは、 プラセボ群よりもエベロリムス群の方が長かったが、 統計学的有意性 (P=0.044) の基準を満たさなかった。
5年RFS
層別log-rank検定のp=0.050、層別HR 0.85(95%CI 0.72-1.00)、 p=0.051
RFSは、 超高リスク群ではエベロリムスの方がプラセボより長かったが (HR 0.79、 95%CI 0.65-0.97、 P=0.022)、 中等度ないし高度リスク群では差はなかった (HR 0.99、 95%CI 0.73-1.35、 P=0.96)。
グレード3以上の有害事象の発現
エベロリムス群:46% (740例中343例)
プラセボ群:11% (723例中79例)
腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞癌患者において、 エベロリムス投与はプラセボと比較してRFSを改善しなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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