HOKUTO通信
1年前
厚生労働省は7月、 有罪判決を受けた医師4人を医業停止にするなどの行政処分をした。 医師免許取り消しは発表されなかったが、 行政処分の基準はどこにあるのか。
厚労省による行政処分は3種類あり、 ほかに処分には至らない行政指導がある。 (下図参照)
どんな行為をすると行政処分を受けるのか、 誰がその決定をしているのか、をみてみよう。
まず、 行政処分の内容を実質的に決定しているのは、「医道審議会」 という諮問機関にある医道分科会だ。 最終的な決定権者は厚生労働大臣だが、 分科会の意見がほぼそのまま反映される。
罰金以上の刑に処せられた医師の情報は、 法務省から厚労省に情報提供される。 医道分科会ではこれらの情報を基に、 10人前後の委員が行政処分や再免許の妥当性について審議する。
分科会は毎年度2〜3回の頻度で開催されるが、 審議内容は原則非公開で、 実際にどんな検討がされていたか分からない。 そこで公平性・透明性を高め、 判断が恣意的にならないよう、 処分の目安となるガイドライン 「行政処分の考え方」 が公表されている。
ガイドラインでは 「司法の量刑や執行猶予の有無などを参考にすることを基本とする」 とした上で、 「医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は厳しく判断する」としている。 当たり前のことだが、 重大な犯罪をすれば刑事処分の量刑は重くなり、 その分行政処分も重くなる可能性が高くなる。
ただ、 処分の目安はかなり大雑把。 さらに個別の事情も勘案するため、 目安と最終的な処分結果がかけ離れることもあることもある。
目安は 「重い処分」 と 「重めの処分」の2段階。 違いが分かりづらいが、 過去の処分事例などを照らし合わせると、 おおよそ次のようになる。 その他は一番軽い 「戒告」 が基本となる。
こちらを事例別にカテゴリー分けしてみよう。 全体として、以下のいずれかに該当した場合、 処分が一段と厳しくなる傾向にある。
悪意がなくても、 可能性としては誰でもあり得る事案。 よほど悪質でなければ免許取り消しには至らないケースが多い。
交通事犯(過失運転致死傷、 道交法違反)
医療過誤
医師法違反
薬機法違反
覚醒剤取締法違反など
性犯罪
贈収賄
詐欺・窃盗
文書偽造
凶悪・粗暴犯
診療報酬の不正請求
税法違反
厚労省 医道審議会医道分科会「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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