海外ジャーナルクラブ
2年前
Heylandらは、 人工呼吸下にあり栄養的に高リスクのICU患者を対象に、 高用量のタンパク質投与の効果を国際多施設共同単盲検無作為化試験で検討。 その結果、 人工呼吸下にある重症患者に高用量のタンパク質を投与しても、 退院から生還までの時間は改善せず、 急性腎障害や臓器不全スコアの高い患者の転帰を悪化させる可能性があることが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
注目の研究結果です。 ただ、 アウトカムがコロナの影響で入れ替わったり、 著者も主要評価項目については、「time-to-discharge-alive can be a problematic endpoint in unblinded trials」と言及しています。 通常群と高介入群のRCTの場合は、 それぞれの実測値の間の部分、 今回であればタンパク1.5g/kgあたりに臨床的な終着点があるように思います。
質の低いエビデンスに基づき、 国際的な重症患者栄養ガイドラインでは、 さまざまなタンパク質投与量が推奨されているが、 重症患者への高用量タンパク質投与の効果は不明である。
人工呼吸下にあり栄養的に高リスクの成人患者
患者は、 施設ごとに層別化され、 以下の群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。
・高用量タンパク質群 (≧2.2g/kg/日):645名
・通常量タンパク質群 (≦1.2g/kg/日):656名
ICU入室後60日までの退院生存期間
60日間の死亡率
・高用量タンパク質群:46.1%
・通常用量タンパク質群:50.2%
・高用量タンパク質群:34.6%
・通常用量タンパク質群:32.1%
試験開始時点で急性腎障害や臓器不全のスコアが高かった患者では、 高タンパク質投与が特に有害であった。
人工呼吸下にある重症患者に高用量のタンパク質を投与しても、 退院から生還までの時間は改善せず、 急性腎障害や臓器不全スコアの高い患者の転帰を悪化させる可能性があった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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