【Lancet】人工呼吸器下にある重症患者、高用量タンパク質投与で転帰改善せず
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet】人工呼吸器下にある重症患者、高用量タンパク質投与で転帰改善せず

【Lancet】人工呼吸器下にある重症患者、高用量タンパク質投与で転帰改善せず
Heylandらは、 人工呼吸下にあり栄養的に高リスクのICU患者を対象に、 高用量のタンパク質投与の効果を国際多施設共同単盲検無作為化試験で検討。 その結果、 人工呼吸下にある重症患者に高用量のタンパク質を投与しても、 退院から生還までの時間は改善せず、 急性腎障害や臓器不全スコアの高い患者の転帰を悪化させる可能性があることが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。

📘原著論文

The effect of higher protein dosing in critically ill patients with high nutritional risk (EFFORT Protein): an international, multicentre, pragmatic, registry-based randomised trial. Lancet. 2023 Jan 25;S0140-6736(22)02469-2. PMID: 36708732

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

注目の研究結果です。 ただ、 アウトカムがコロナの影響で入れ替わったり、 著者も主要評価項目については、「time-to-discharge-alive can be a problematic endpoint in unblinded trials」と言及しています。 通常群と高介入群のRCTの場合は、 それぞれの実測値の間の部分、 今回であればタンパク1.5g/kgあたりに臨床的な終着点があるように思います。


背景

質の低いエビデンスに基づき、 国際的な重症患者栄養ガイドラインでは、 さまざまなタンパク質投与量が推奨されているが、 重症患者への高用量タンパク質投与の効果は不明である。

研究デザイン

対象

人工呼吸下にあり栄養的に高リスクの成人患者

介入

患者は、 施設ごとに層別化され、 以下の群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。

・高用量タンパク質群 (≧2.2g/kg/日):645名

・通常量タンパク質群 (≦1.2g/kg/日):656名

ICU入室後96時間以内に開始し28日まで継続

主要評価項目

ICU入室後60日までの退院生存期間

副次評価項目

60日間の死亡率

研究結果

無作為化後60日までの累積生存退院率:有意差なし

・高用量タンパク質群:46.1%

・通常用量タンパク質群:50.2%

HR 0.91、 95%CI 0.77-1.07

60日死亡率:有意差なし

・高用量タンパク質群:34.6%

・通常用量タンパク質群:32.1%

RR 1.08、 95%CI 0.92-1.26

サブグループ解析

試験開始時点で急性腎障害や臓器不全のスコアが高かった患者では、 高タンパク質投与が特に有害であった。

結果の解釈

人工呼吸下にある重症患者に高用量のタンパク質を投与しても、 退院から生還までの時間は改善せず、 急性腎障害や臓器不全スコアの高い患者の転帰を悪化させる可能性があった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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