HOKUTO編集部
15日前
頭頸部癌薬物療法の注目トピックやキーワードについて解説する新連載です。 第2回は、 頭頸部扁平上皮癌の再発・転移例に対する2次治療について、 奈良県立医科大学附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の西村 在先生に解説いただきます。
頭頸部癌のうち扁平上皮癌は、 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域における悪性腫瘍の大部分を占め、 高頻度に再発・転移をきたすため予後は不良である。
前回は再発・転移例 (R/M-HNSCC) に対する1次治療について概説した。 今回では、 1次治療不応となった後の2次治療について解説する。
【頭頸部癌】再発・転移例への1次治療は"Ptへの反応"で決まる?
前回も触れたように、 R/M-HNSCCの1次治療では、 他の固形癌と同様に免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) が用いられる。
治療ラインごとに薬物療法の治療選択を進める上で、 R/M-HNSCCにおける選択薬の分類を知っておく必要がある。
以下に、 R/M-HNSCCで用いられる抗癌薬と分類を示す。
分類ごとに作用機序が異なるため、 併用レジメンでは原則として異なる分類の薬剤を組み合わせる。
そして、 治療が無効と判断された場合の逐次治療では、 異なる分類の薬剤またはその組み合わせから治療を選択する。
上記のことを踏まえたうえで、 1次治療で選択したレジメンに応じた2次治療レジメンを以下に示す。 1次治療での使用薬剤に応じて、 2次治療では未使用の分類に属する抗癌薬を用いたレジメンが選択される。
1次治療では、 ニボルマブ療法は白金製剤不応例、 すなわち白金製剤治療後6ヵ月以内の再発・転移例に対して用いられる。 また、 化学療法併用ペムブロリズマブ療法も、 併用薬剤に白金製剤を用いる。
すなわち、 これらの治療中に腫瘍の増大が認められた場合、 ICIと白金製剤は不応であると判断し、 他の分類に含まれる抗癌薬から構成されるレジメンが選択される。
この場合に本邦で頻用されているのは、 週次パクリタキセル+セツキシマブ併用 (PTX+Cmab) 療法である。 本レジメンはスペインで前向き第II相試験¹⁾が実施された後、 本邦でも後方視的研究²⁾が実施されており、 有効性に関して一定のエビデンスが示されている。
また、 投与間隔に関してCmabの倍量投与による隔週投与レジメンに関する試験³⁾も実施されており、 治療選択肢として考慮される。
一方、 1次治療としてペムブロリズマブ単剤療法を選択した場合、 腫瘍増大後には白金製剤は感受性があると判断する。
この場合にはまだ未使用の白金製剤を含むレジメンとして、 EXTREMEレジメン (シスプラチン/カルボプラチン+5-FU+Cmab)⁴⁾が治療選択肢となる。
R/M-HNSCCにおける2次治療および以降の治療を考える場合、 抗癌薬の分類を理解し有効性が期待できる薬剤の組み合わせを選択することが重要である。
さらにもう一歩踏み込むと、 タキサンで生じ得る末梢神経障害や脱毛、 Cmabで生じる皮膚炎や爪囲炎について適切なマネジメントを行うことで、 長期の治療継続が可能となることを意識されたい。
ICI使用後の2次治療として、 PTX+Cmab、 またはEXTREMEレジメンが候補となる。 まだ使用されていない、 奏効が期待される薬剤分類の抗腫瘍薬を用いることが重要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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