海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Dreylingらは、 未治療で65歳以下のマントル細胞リンパ腫 (MCL) の患者を対象に、 ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イブルチニブと免疫化学療法の併用および自家幹細胞移植 (ASCT) の有無による効果を非盲検第Ⅲ相優越性無作為化比較試験TRIANGLEで検討した。 その結果、 ASCT+免疫化学療法+イブルチニブの組み合わせは、 ASCT+免疫化学療法に比べて優れた有効性を示した一方で、 ASCT後にイブルチニブを継続投与すると有害事象の発現が増加することが示された。 本研究はLancet誌において発表された。
3群の比較となっているため、 ボンフェローニ補正をして有意水準を0.05/3=0.01666となっています。
標準的な免疫化学療法にイブルチニブを追加することで、 若年のMCL患者の転帰が改善し、 ASCTを実施できる可能性が示唆されている。 しかし、 イブルチニブとASCTを併用する治療と併用しない治療のいずれが優れているかについては明確な結論が出ていない。
未治療かつ18~65歳のstage Ⅱ~ⅣのMCLでASCTに適した患者
患者を以下の群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。
3群とも導入免疫化学療法としてR-CHOP (リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)、 R-DHAP (リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)、 R-DHAOx (リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+オキサリプラチン) を交互に6サイクル行った。
A+I群およびI群ではR-CHOPサイクルの1~19日目にイブルチニブ (560mg/日経口投与) を追加。 その後、 A群およびA+I群ではASCTを施行した。 A+I群はASCT後に、 I群では免疫化学療法に引き続いて、 イブルチニブによる一定期間の維持療法 (560mgを1日1回経口投与) を2年間継続した。
担当医の評価による治療成功生存期間 (FFS)
3年FFS率
A+I群のA群に対する優越性が認められた。
HR 0.52 (片側98.3%CI 0.00-0.86、 片側p=0.0008)
A群のI群に対する優越性は示されなかった。
HR : 1.77 (片側98.3%CI : 0.00~3.76、 片側p=0.9979)
A+I群とI群の比較は現在進行中である。
導入療法中またはASCT中のGrade 3~5の有害事象の発現
R-CHOP/R-DHAP療法とイブルチニブ併用R-CHOP/R-DHAP療法の間で差は認められなかった。
維持療法中または追跡調査中の有害事象発現率
維持療法中または追跡調査中においては、 A+I群がA群やI群に比べ、 Grade3~5の血液学的有害事象および感染症の発現率が高かった。
A群
A+I群
I群
著者らは、 「ASCT+免疫化学療法にイブルチニブを追加することで、 若年MCL患者において優れた有効性が示されたが、 ASCT後にイブルチニブを継続投与すると有害事象が増加した。 導入療法および維持療法にイブルチニブを追加することは、 1次治療の一部とするべきで、 イブルチニブを含むレジメンにASCTを追加するかどうかについてはまだ決定されていない」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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