【Lancet】未治療MCLへのイブルチニブ、 ASCT+免疫化学療法に対する上乗せ効果は?
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海外ジャーナルクラブ

29日前

【Lancet】未治療MCLへのイブルチニブ、 ASCT+免疫化学療法に対する上乗せ効果は?

【Lancet】未治療MCLへのイブルチニブ、 ASCT+免疫化学療法に対する上乗せ効果は?
Dreylingらは、 未治療で65歳以下のマントル細胞リンパ腫 (MCL) の患者を対象に、 ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イブルチニブと免疫化学療法の併用および自家幹細胞移植 (ASCT) の有無による効果を非盲検第Ⅲ相優越性無作為化比較試験TRIANGLEで検討した。 その結果、 ASCT+免疫化学療法+イブルチニブの組み合わせは、 ASCT+免疫化学療法に比べて優れた有効性を示した一方で、 ASCT後にイブルチニブを継続投与すると有害事象の発現が増加することが示された。 本研究はLancet誌において発表された。

📘原著論文

Ibrutinib combined with immunochemotherapy with or without autologous stem-cell transplantation versus immunochemotherapy and autologous stem-cell transplantation in previously untreated patients with mantle cell lymphoma (TRIANGLE): a three-arm, randomised, open-label, phase 3 superiority trial of the European Mantle Cell Lymphoma Network. Lancet. 2024 May 2:S0140-6736(24)00184-3. PMID: 38705160

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

3群の比較となっているため、 ボンフェローニ補正をして有意水準を0.05/3=0.01666となっています。

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MIPIスコア

進行期マントル細胞リンパ腫の予後指標

イブルチニブ+ASCTの有効性は?

標準的な免疫化学療法にイブルチニブを追加することで、 若年のMCL患者の転帰が改善し、 ASCTを実施できる可能性が示唆されている。 しかし、 イブルチニブとASCTを併用する治療と併用しない治療のいずれが優れているかについては明確な結論が出ていない。

主要評価は治療成功生存期間

対象

未治療かつ18~65歳のstage Ⅱ~ⅣのMCLでASCTに適した患者

介入

患者を以下の群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。

  • A群 : 288例
ASCT+免疫化学療法
  • A+I群 : 292例
ASCT+免疫化学療法+イブルチニブ
  • I群 : 290例
免疫化学療法+イブルチニブ

3群とも導入免疫化学療法としてR-CHOP (リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)、 R-DHAP (リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)、 R-DHAOx (リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+オキサリプラチン) を交互に6サイクル行った。

A+I群およびI群ではR-CHOPサイクルの1~19日目にイブルチニブ (560mg/日経口投与) を追加。 その後、 A群およびA+I群ではASCTを施行した。 A+I群はASCT後に、 I群では免疫化学療法に引き続いて、 イブルチニブによる一定期間の維持療法 (560mgを1日1回経口投与) を2年間継続した。

主要評価項目

担当医の評価による治療成功生存期間 (FFS)

A+I群のA群に対する優越性を確認

有効性評価

3年FFS率

  • A群 : 72% (95%CI 67-79%)
  • A+I群 : 88% (同84-92%)
  • I群 : 86% (同82~91%)

A+I群のA群に対する優越性が認められた。

HR 0.52 (片側98.3%CI 0.00-0.86、 片側p=0.0008)

A群のI群に対する優越性は示されなかった。

HR : 1.77 (片側98.3%CI : 0.00~3.76、 片側p=0.9979)

A+I群とI群の比較は現在進行中である。

安全性評価

導入療法中またはASCT中のGrade 3~5の有害事象の発現

R-CHOP/R-DHAP療法とイブルチニブ併用R-CHOP/R-DHAP療法の間で差は認められなかった。

維持療法中または追跡調査中の有害事象発現率

維持療法中または追跡調査中においては、 A+I群がA群やI群に比べ、 Grade3~5の血液学的有害事象および感染症の発現率が高かった。

A群

  • 血液学的有害事象 : 21% (238例中51例)
  • 感染症 : 13% (238例中32例)
  • 致死的感染症 : 1% (238例中3例)

A+I群

  • 血液学的有害事象 : 50% (231例中114例)
  • 感染症 : 25% (231例中58例) 
  • 致死的感染症 : 1% (231例中2例)

I群

  • 血液学的有害事象 : 28% (269例中74例)
  • 感染症 : 19% (269例中52例)
  • 致死的感染症 : 1% (269例中2例)

ASCT後の継続投与で有害事象増加

著者らは、 「ASCT+免疫化学療法にイブルチニブを追加することで、 若年MCL患者において優れた有効性が示されたが、 ASCT後にイブルチニブを継続投与すると有害事象が増加した。 導入療法および維持療法にイブルチニブを追加することは、 1次治療の一部とするべきで、 イブルチニブを含むレジメンにASCTを追加するかどうかについてはまだ決定されていない」 と述べている。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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