【NEJM】未治療CLL、 MRD指標のイブルチニブ+ベネトクラクスでPFS改善
著者

海外ジャーナルクラブ

9ヶ月前

【NEJM】未治療CLL、 MRD指標のイブルチニブ+ベネトクラクスでPFS改善

【NEJM】未治療CLL、 MRD指標のイブルチニブ+ベネトクラクスでPFS改善
Munir氏らは、 未治療の慢性リンパ性白血病 (CLL) 患者を対象に、 BTK阻害薬イブルチニブ+BCL-2阻害薬ベネトクラクス併用療法とフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ (FCR) 療法の効果について、 第III相多施設共同非盲検無作為化比較試験FLAIRを用いて比較検討した。 その結果、 CLLに対し測定可能残存病変 (MRD) に基づいて投与期間を最適化するイブルチニブ+ベネトクラクス併用療法は、 FCR療法と比較して、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) を改善させた。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Chronic Lymphocytic Leukemia Therapy Guided by Measurable Residual Disease. N Engl J Med. 2023 Dec 10. PMID: 38078508

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

RCTの中間解析結果です。 RCTは統計解析方法は以前までは非常にシンプルであったのですが、 臨床試験の中間解析方法としてO’Brien and Flemingの方法が採用され複雑化しています。

🔢関連コンテンツ

CLLの病期分類 (改訂Rai分類)

CLLの病期分類 (Binet分類)

CLLの治療開始基準

CLLの治療効果判定

FCR

フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ

研究の背景

化学免疫療法に比べて、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用療法はCLL患者の転帰を改善することが報告されているが、 同療法とMRDに応じた治療期間の個別化が、 FCR療法と比較して有効であるか否かは不明であった。

研究デザイン

対象

未治療のCLL患者 : 523例

介入

患者を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。

  • イブルチニブ+ベネトクラクス併用群 (260例)
イブルチニブを2ヵ月間、 1日1回経口投与、 その後ベネトクラクスを追加した併用療法を、 MRDに基づく中止基準を満たすか、 病勢進行または許容できない毒性作用の発現に至るまで、 最長で6年間実施。 併用療法実施期間は末梢血と骨髄で評価したMRDが検出不能となるまでの期間の2倍とした。
  • FCR群 (263例)
1サイクル28日で6サイクル投与

主要評価項目

PFS

副次評価項目

OS、 奏効率、 MRD未検出の割合、 安全性

研究結果

主要評価項目

追跡期間中央値43.7ヵ月の時点で、 両群ともPFS中央値は未到達であったが、 病勢進行または死亡した患者の割合はイブルチニブ+ベネトクラクス群がFCR群に比べて有意に高かった。

  • イブルチニブ+ベネトクラクス併用群 : 4.6%
  • FCR群 : 28.5%
HR 0.13 (95%CI 0.07-0.24)、 p<0.001

3年無増悪生存率はそれぞれ97.2%、 76.8%であった。

副次評価項目

OS

両群とも中央値は未到達であったが、 死亡はイブルチニブ+ベネトクラクス併用群で9例、 FCR群で25例認められた。

HR 0.31 (95%CI 0.15-0.67) 

MRD未検出の割合

治療から3年後、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用群の58.0%がMRD未検出により治療を中止した。 5年後では、 同群の65.9%で骨髄MRDが、 92.7%で末梢血MRDが検出されなかった。

安全性

感染症リスクは両群で同程度であった。

心臓の重篤な有害事象を発症した患者の割合は、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用群がFCR群に比べて高かった。

結論

MRDを指標とするイブルチニブ+ベネトクラクス併用療法は、 FCR療法と比較して未治療CLL患者のPFSを改善し、 OSも良好であった。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【NEJM】未治療CLL、 MRD指標のイブルチニブ+ベネトクラクスでPFS改善