海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前
Munir氏らは、 未治療の慢性リンパ性白血病 (CLL) 患者を対象に、 BTK阻害薬イブルチニブ+BCL-2阻害薬ベネトクラクス併用療法とフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ (FCR) 療法の効果について、 第III相多施設共同非盲検無作為化比較試験FLAIRを用いて比較検討した。 その結果、 CLLに対し測定可能残存病変 (MRD) に基づいて投与期間を最適化するイブルチニブ+ベネトクラクス併用療法は、 FCR療法と比較して、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) を改善させた。 本研究はNEJM誌において発表された。
RCTの中間解析結果です。 RCTは統計解析方法は以前までは非常にシンプルであったのですが、 臨床試験の中間解析方法としてO’Brien and Flemingの方法が採用され複雑化しています。
化学免疫療法に比べて、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用療法はCLL患者の転帰を改善することが報告されているが、 同療法とMRDに応じた治療期間の個別化が、 FCR療法と比較して有効であるか否かは不明であった。
未治療のCLL患者 : 523例
患者を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
PFS
OS、 奏効率、 MRD未検出の割合、 安全性
追跡期間中央値43.7ヵ月の時点で、 両群ともPFS中央値は未到達であったが、 病勢進行または死亡した患者の割合はイブルチニブ+ベネトクラクス群がFCR群に比べて有意に高かった。
HR 0.13 (95%CI 0.07-0.24)、 p<0.001
3年無増悪生存率はそれぞれ97.2%、 76.8%であった。
OS
両群とも中央値は未到達であったが、 死亡はイブルチニブ+ベネトクラクス併用群で9例、 FCR群で25例認められた。
HR 0.31 (95%CI 0.15-0.67)
MRD未検出の割合
治療から3年後、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用群の58.0%がMRD未検出により治療を中止した。 5年後では、 同群の65.9%で骨髄MRDが、 92.7%で末梢血MRDが検出されなかった。
安全性
感染症リスクは両群で同程度であった。
心臓の重篤な有害事象を発症した患者の割合は、 イブルチニブ+ベネトクラクス併用群がFCR群に比べて高かった。
MRDを指標とするイブルチニブ+ベネトクラクス併用療法は、 FCR療法と比較して未治療CLL患者のPFSを改善し、 OSも良好であった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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