【Lancet Oncol】HER2+乳癌の術前de-escalation、 nab-PTX併用が有望 : 第Ⅲ相HELEN-006
著者

海外ジャーナルクラブ

9日前

【Lancet Oncol】HER2+乳癌の術前de-escalation、 nab-PTX併用が有望 : 第Ⅲ相HELEN-006

【Lancet Oncol】HER2+乳癌の術前de-escalation、 nab-PTX併用が有望 : 第Ⅲ相HELEN-006
Chenらは、 HER2陽性早期乳癌患者を対象に、 術前療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブにnab-パクリタキセル (nab-PTX) を併用したde-escalation治療の有効性と安全性を多施設第Ⅲ相無作為化比較試験HELEN-006で検討した。 その結果、 nab-PTXを併用した治療は標準治療群 (トラスツズマブ+ペルツズマブにドセタキセル+カルボプラチンを併用) に比べ、 病理学的完全奏効 (pCR) において優れている可能性が示唆された。 本研究はLancet Oncol誌にて掲載された。 

📘原著論文

De-escalated neoadjuvant weekly nab-paclitaxel with trastuzumab and pertuzumab versus docetaxel, carboplatin, trastuzumab, and pertuzumab in patients with HER2-positive early breast cancer (HELEN-006): a multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2024 Nov 26:S1470-2045(24)00581-3. Online ahead of print. PMID: 39612919.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

無イベント生存期間 (EFS) や全生存期間 (OS) などの、 長期アウトカム結果が注目されます。

🔢関連コンテンツ

CPS+EG

術前補助化学療法を受けた乳癌患者の予後評価

背景

第Ⅱ相試験ではPTXを用いた併用療法で有望な結果

HER2陽性乳癌に対する術前療法は、 腫瘍縮小による手術適応の拡大と予後改善を目的としている。 先行する第Ⅱ相試験では、 パクリタキセル、 トラスツズマブ、 ペルツズマブを用いたde-escalation治療が有望な結果を示した。

本試験では、 トラスツズマブおよびペルツズマブにドセタキセル+カルボプラチンを併用する標準療法とnab-PTXを併用した治療法の有効性と安全性を比較・評価することを目的とした。

研究デザイン

標準療法とnab-PTX併用療法を比較

HER2陽性、 ステージⅡ/Ⅲの未治療浸潤性乳癌で18~70歳、 ECOGパフォーマンスステータス (PS) が0または1の患者を登録した (689/789例を無作為化)。 患者は腫瘍のステージ、 リンパ節の状態、 ホルモン受容体の状態により層別化され、 1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。

  • nab-PTX併用群 : 343例
nab-PTX (125mg/m²、 1、 8、 15日目に投与) +トラスツズマブ (負荷量8mg/kg、 維持量6mg/kg) +ペルツズマブ (負荷量840mg、 維持量420mg) を3週ごと6サイクルで投与
  • 標準療法群 : 346例
ドセタキセル (75mg/m²、 1日目に投与) +カルボプラチン (AUC6、 1日目に投与) +トラスツズマブ (負荷量8mg/kg、 維持量6mg/kg) +ペルツズマブ (負荷量840mg、 維持量420mg) を3週ごと6サイクルで投与

主要評価項目は病理学的完全奏効 (ypT0/is ypN0) に設定された。

研究結果

pCR達成率はnab-PTX併用群で高い

pCR達成率はnab-PTX併用群で66.3% (95%CI 61.2-71.4)、 標準療法群で57.6% (95%CI 52.3-62.9) であった (複合OR 1.54、 95%CI 1.10-2.14、 p=0.011)。

有害事象発生率はnab-PTX併用群で低い

Grade3/4の有害事象はnab-PTX併用群で30% (100/343例)、 標準療法群で38% (128/346例) で確認された。 頻度の高いGrade3/4の有害事象は以下の通りであった。

悪心

- nab-PTX併用群 : 7%

- 標準療法群 : 23%

下痢

- nab-PTX併用群 : 8%

- 標準療法群 : 16%

神経障害

- nab-PTX併用群 : 13%

- 標準療法群 : 2%

また、 重篤な薬物関連有害事象はnab-PTX併用群の1%、 標準療法群の2%に確認された。 両群ともに、 治療関連死の報告はなかった。

結論

nab-PTXが早期乳癌の術前療法の新たな標準治療になる可能性

著者らは 「nab-PTXを用いた術前療法は、 pCR率で標準療法を上回り、 有害事象も少ないことが示された。 この結果は、 標準レジメンと比較して潜在的な利点があることを示唆しており、 この新しい併用療法がHER2陽性の早期乳癌患者における術前療法の新たな標準となる可能性を示唆している」 と報告している。

ポストのGif画像
【Lancet Oncol】HER2+乳癌の術前de-escalation、 nab-PTX併用が有望 : 第Ⅲ相HELEN-006の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【Lancet Oncol】HER2+乳癌の術前de-escalation、 nab-PTX併用が有望 : 第Ⅲ相HELEN-006