海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Armandiらは、 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患 (MASLD) の患者を対象に、 ベースラインの血清フェリチン値と長期転帰の関連を多施設コホート研究で検討した。 その結果、 血清フェリチン値がMASLD患者の長期予後予測に役立つ可能性があることが示唆された。 本研究は、 Gut誌において発表された。
MASLD患者の長期予後予測に血清フェリチン値が有用であり、 カットオフ値が肝関連イベント、 全死因死亡リスクともに示されているので臨床現場で検証可能です。
高フェリチン血症は、 MASLD患者における肝線維症の重症度と関連しているが、 長期転帰における意味についてはこれまで十分に検討されていなかった。
MASLD患者 : 1,342例
フェリチンと交絡因子または非侵襲的スコアリングを考慮した4つの生存モデルが、 5分割交差検証のスキーマを繰り返しながら適用された。 予測性能はHarrellのC-indexで評価し、 共変量としてフェリチンを含めることで改善がみられるかどうかが検討された。
高フェリチン血症により肝関連イベントのリスクが50%、 全死因死亡のリスクが27%増加した。
ベースラインのフェリチン閾値が段階的に増加すると、 C-indexが統計学的に0.02から0.03の範囲で増加した。
肝関連イベントの発生リスク : 閾値215.5μg/L
HR中央値 1.71、 C-index 0.71
全死因死亡のリスク : 閾値272μg/L
HR中央値 1.49、 C-index 0.70
予測モデルに血清フェリチン閾値 (215.5μg/Lと272μg/L) を含めることで、 肝関連イベント (C-index>0.71) と総死亡 (C-index>0.65) の長期的リスク評価におけるFibrosis-4 (FIB-4) と非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD) 線維化スコア (NFS) の性能が向上した。
MASLD患者の長期予後予測に、 血清フェリチン値を用いることの可能性を支持している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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