海外ジャーナルクラブ
10日前

NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC) は、 日本を含む工業先進7ヵ国一般住民を対象に、 肥満群と標準BMI群の血圧・コレステロール値、 降圧薬・脂質低下薬使用の差の推移を、 1990~2024年にわたる110件97万8,425例の健康調査データを用いて検討した。 その結果、 標準BMI群との差は10年あたりnon HDL-Cで女性 -0.05 mmol/L・男性 -0.07 mmol/L、 SBPで女性 -0.7 mmHg・男性 -0.6 mmHgと縮小し、 40歳超でこれらのリスク因子の収束が認められた。 一方、 40歳未満では差にほとんど変化がなかった。 研究結果はLancet誌に発表された。
解析対象期間は1990年代以降であり、 それ以前のデータが限られていました。 また、 各国で調査期間が異なり、 一部の国やBMI・年齢・性別別サブグループ (特にアジアの肥満群) ではサンプルサイズが小さいという点はlimitationです。
肥満そのものに加え、 その心血管・腎への影響を媒介する高血圧・脂質異常症に対しても有効な治療が利用可能である。 本研究では、 肥満者と標準体重者の血圧・コレステロール値および降圧薬・脂質低下薬の使用を比較し、 BMIに関連する過剰リスクが縮小したかどうかを経時的に評価した。
対象は、 日本や米国を含む7ヵ国で1990~2024年に実施された110件の健康調査データから、 各国の全国民集団を代表するかたちで抽出された20~79歳の97万8,425例であり、 BMIで以下の区分に分類した。
主要評価項目は、 平均収縮期血圧 (SBP)・non HDL-C値・HDL-C値と、 降圧薬・脂質低下薬の使用割合とした。
標準BMI範囲の参加者における推移と、 肥満群・過体重群と標準BMI群との差の推移を、 図示および傾向分析で評価した。
non HDL-CとSBPの平均値は経時的に低下し、 特に40歳超でその傾向が顕著だった。 また、 すべての国・年齢・BMI区分を統合した解析では、 non HDL-C・SBPの標準BMI群と肥満群の差は縮小した。
標準BMI群との差の縮小幅 (10年あたり)
低下幅は、 標準BMI群よりも肥満群、 特にクラス2・3肥満で大きく、 40歳超ではこれらのリスク因子が肥満群と標準BMI群の間で収束した。 これにより、 英国・米国・タイ・韓国・日本では、 高齢肥満群のnon HDL-C・SBPが標準BMI群と区別がつかない、 あるいは標準BMI群より良好となる例も認められた。
この収束には、 中高年肥満群で標準BMI群より大きい脂質低下薬・降圧薬使用の増加が伴っていた。
標準BMI群との使用の差の拡大 (10年あたり)
一方、 平均HDL-Cは標準BMI群でより大きく上昇し、 差は拡大した。
40歳未満では過体重・肥満群と標準BMI群の差に変化はほとんどなく、 BMIによらず脂質異常症・高血圧治療を受けている者はまれだった。
著者らは、 「高齢の肥満者では、 血圧とnon HDL-C値が標準BMI者の水準に近づいてきている。 この接近には降圧薬・脂質低下薬の使用拡大が関与している可能性があるが、 その程度は国によって異なる。 一方、 若年肥満者では依然、 代謝学的リスクが高い」 と結論づけている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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