【JAMA Oncol】GLP-1受容体作動薬が大腸癌リスクの低下と関連
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【JAMA Oncol】GLP-1受容体作動薬が大腸癌リスクの低下と関連

【JAMA Oncol】GLP-1受容体作動薬が大腸癌リスクの低下と関連
Wangらは、 糖尿病治療薬の使用歴と大腸癌の診断歴のない2型糖尿病患者を対象に、 GLP-1受容体作動薬が大腸癌リスクに及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 GLP-1受容体作動薬は、 肥満の有無にかかわらず2型糖尿病患者の大腸癌リスクを低下させた。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。

📘原著論文

GLP-1 Receptor Agonists and Colorectal Cancer Risk in Drug-Naive Patients With Type 2 Diabetes, With and Without Overweight/Obesity. JAMA Oncol. 2023 Dec 7:e235573. PMID: 38060218

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

まだまだ仮説の段階ですが、 GLP-1受容体作動薬には、 肥満改善 (体重減少) 以外の機序による大腸癌への保護効果がある可能性は大変興味深いです。 個人的にはGLP-1受容体作動薬は現時点で最もノーベル賞に近い薬剤と考えます。

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背景

2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬は、 血糖低下だけでなく体重減少などの多面的効果が認められている。

研究デザイン

対象

過去に糖尿病治療薬の使用歴と大腸癌の診断歴がなく、 2005~2019年に受診して糖尿病治療薬を処方された2型糖尿病患者 : 122万1,218例

方法

  • GLP-1受容体作動薬を投与された曝露コホートと、 インスリン、 メトホルミン、 α-グルコシダーゼ阻害薬、 DPP-4阻害薬、 SGLT2阻害薬、 スルホニル尿素 (SU) 薬、 チアゾリジン薬のいずれかを投与された比較コホートに分けて解析をおこなった。
  • コホートは、 人口統計学、 社会経済的に不利な健康決定要因、 既往症、 癌や結腸ポリープの家族歴および個人歴、 生活習慣要因 (運動、 食事、 喫煙、 飲酒)、 大腸内視鏡検査などの処置について傾向スコアマッチングされた。

主要評価項目

初回処方から15年以内の大腸癌の初回診断

研究結果

GLP-1受容体作動薬と他の糖尿病治療薬との比較

GLP-1受容体作動薬は、 インスリン、 メトホルミン、 SGLT2阻害薬、 SU薬、 チアゾリジン薬と比較して、 大腸癌のリスクが有意に低かった。

  • インスリン : HR 0.56
95%CI 0.44-0.72
  • メトホルミン : HR 0.75
同0.58-0.97
  • SGLT2阻害薬 : HR 0.77
同0.62-0.97
  • SU薬 : HR 0.82
同0.68-0.98
  • チアゾリジン薬 : HR 0.82
同0.69-0.97

α-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬との比較

α-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬と比較した場合においても大腸癌のリスクは低かったが統計学的に有意差はなかった。

性差による比較

この結果は男女を問わず一貫していた。

肥満/過体重の患者における解析

GLP-1受容体作動薬は、 インスリン、 メトホルミン、 または他の抗糖尿病薬と比較して、 大腸癌リスクを有意に低下させた。

  • インスリン : HR 0.50
95%CI 0.33-0.75
  • メトホルミン : HR 0.58
同0.38-0.89

結論

GLP-1受容体作動薬は、 未治療の2型糖尿病患者における大腸癌リスクの低下と関連していた。 特に肥満または過体重の患者においてはより強い効果を示した。 この結果から、 GLP-1受容体作動薬には、 体重減少および体重減少以外の機序による大腸癌への保護効果があることが示唆される。 ただし、 未測定の交絡因子や観察研究固有のバイアスの可能性も考慮されるため、 さらなる研究が必要である。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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