【KN-811 OS最終解析】未治療胃癌へのトラスツズマブ+ Chemo +ペムブロリズマブで死亡リスク20%低減
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HOKUTO編集部

24日前

【KN-811 OS最終解析】未治療胃癌へのトラスツズマブ+ Chemo +ペムブロリズマブで死亡リスク20%低減

【KN-811 OS最終解析】未治療胃癌へのトラスツズマブ+ Chemo +ペムブロリズマブで死亡リスク20%低減
未治療でHER2陽性の切除不能または転移性胃腺癌・食道胃接合部腺癌における抗HER2抗体トラスツズマブ+化学療法+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法の有効性について、 トラスツズマブ+化学療法+プラセボを対照に検証した第Ⅲ相国際二重盲検無作為化比較試験KEYNOTE-811の最終解析結果より、 ITTおよびPD-L1 CPS≧1集団においてOSが有意に改善した。 イタリア・Istituto Oncologico VenetoのSara Lonardi氏が発表した。

背景

既報の結果より、 ペムブロリズマブ併用療法は既に承認

第Ⅲ相KEYNOTE-811試験では、 HER2陽性胃腺癌・食道胃接合部腺癌患者を対象に、 トラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを併用する有効性と安全性が検討された。 同試験の中間解析における客観的奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)の結果より、 同併用療法は、 PD-L1 CPS≧1のHER2陽性胃癌・食道胃接合部癌に対する1次治療として世界で承認されている¹⁾²⁾。

▼KEYNOTE-811試験の対象と方法
【対象】18歳以上、 未治療でHER2陽性の進行胃癌
【方法】698例を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
・ペムブロリズマブ群 (ペムブロリズマブ200mgを3週ごと+化学療法[5-FUおよびシスプラチンまたはカペシタビンおよびオキサリプラチン]+トラスツズマブ併用療法を最大35サイクル、 または病勢進行、 許容できない毒性発現、 あるいは中止が認められるまで投与) : 350例
・プラセボ群 : 348例

試験の結果

今回は、 データカットオフ日を2024年3月20日とする追跡期間中央値50.2ヵ月におけるOS最終解析結果が報告された。

患者背景は両群で概ね一致しており、 PD-L1 CPS≧1の症例が両群ともに85%を占めた。

OS中央値は20.0ヵ月、 HRは0.80

ITT集団のOS中央値はペムブロリズマブ群が20.0ヵ月(95%CI 17.8-22.1ヵ月)、 プラセボ群が16.8ヵ月(同14.9-18.7ヵ月)、 HR 0.80 (同 0.67-0.94)、 p=0.0040だった。 事前に規定された境界p値 (0.0201) を下回ったため、 OSの有意な改善が証明された。

12ヵ月OS率はペムブロリズマブ群が69% / プラセボ群が63%、 24ヵ月時OS率は41% / 36%、 36ヵ月時OS率は28% / 23%だった。

またOSサブグループ解析の結果、 アジア人(HR 1.05)、 アジア地域 (HR 1.05) 、 PD-L1 CPS<1 (HR 1.10) 以外のサブグループでは、 ペムブロリズマブ群のプラセボ群に対する優位性が認められた。

なおPD-L1 CPS≧1集団におけるOS中央値は、 ペムブロリズマブ群が20.1ヵ月 (95%CI 17.9-22.9ヵ月)、 プラセボ群が15.7ヵ月 (同 13.5-18.5ヵ月)だった (HR 0.79 [同 0.66-0.95] )。

12ヵ月OS率はペムブロリズマブ群が69% / プラセボ群が61%、 24ヵ月時OS率は43% / 35%、 36ヵ月時OS率は29% / 23%だった。

36ヵ月PFS率は18%、 長期的にも改善

ITT集団のPFS中央値はペムブロリズマブ群が10.0ヵ月 (95%CI 8.6-12.2ヵ月)、 プラセボ群が8.1ヵ月 (同 7.0-8.5ヵ月)、 HR 0.73 (同 0.61-0.87) と、 既報と同様にペムブロリズマブ群で改善が認められた。

36ヵ月PFS率はペムブロリズマブ群が18%、 プラセボ群が11%だった。

PD-L1 CPS≧1集団においては、 PFS中央値はペムブロリズマブ群が10.9ヵ月 (95%CI 8.5-12.5ヵ月)、 プラセボ群が7.3ヵ月 (同 6.8-8.4ヵ月)だった (HR 0.72 [同 0.60-0.87] )。 36ヵ月時PFS率は19% / 11%だった。

ORR、 DoRもペムブロリズマブ併用で良好な結果

ITT集団におけるORRはペムブロリズマブ群が72.8%(95%CI 67.6-77.2%) vs プラセボ群が60.1%(同 54.7-65.2%)、 奏効期間 (DoR) 中央値は11.3ヵ月 vs 9.5ヵ月、 36ヵ月DoR率は24% vs 15%だった。

PD-L1 CPS≧1集団においては、 ORRはペムブロリズマブ群が73.2% (95%CI 67.7-78.1%)、 プラセボ群が58.4% (同 52.6-64.1%)、 DoR中央値は11.3ヵ月 vs 9.5ヵ月だった。

新たな安全性シグナルは示されず

Grade3~4の有害事象 (AE) 発現率はペムブロリズマブ群が58% / プラセボ群が50%だった。 治療中止に至ったAE発現率は37% / 34%、 Grade3~4の免疫介在性AE発現率は11% / 3%だった。

結論

ペムブロリズマブ併用の標準治療としての効果をさらに支持

Lonardiは 「KEYNOTE-811試験の最終解析の結果、 HER2陽性の切除不能または転移性胃腺癌・食道胃接合部腺癌の1次治療においてトラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを併用することで、 全患者のOSを有意に改善し、 その改善効果はPD-L1 CPS≧1集団で特に高かった。 本試験の結果は、 PD-L1 CPS≧1でHER2陽性の切除不能または転移性胃腺癌・食道胃接合部腺癌に対する1次治療として、 ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法が標準治療であることをさらに支持するものである」 と報告した。

出典

¹⁾ Lancet. 2023 Dec 9;402(10418):2197-2208.

²⁾ Nature. 2021 Dec;600(7890):727-730.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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