【CodeBreaK 300】OS最終解析 : KRAS G12C陽性大腸癌へのソトラシブ+パニツムマブ
著者

HOKUTO編集部

3ヶ月前

【CodeBreaK 300】OS最終解析 : KRAS G12C陽性大腸癌へのソトラシブ+パニツムマブ

【CodeBreaK 300】OS最終解析 : KRAS G12C陽性大腸癌へのソトラシブ+パニツムマブ
化学療法抵抗性のKRAS G12C変異陽性mCRC患者におけるKRAS G12C阻害薬ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法の有効性を、 標準治療を対照に検証した第Ⅲ相国際共同非盲検無作為化比較試験CodeBreaK 300のOS最終解析の結果より、 ソトラシブ+パニツムマブによるOSの有意な改善は認められなかった。 ただし、 ソトラシブ960mg+パニツムマブ群ではOSの改善傾向が認められた。 米・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が発表した。 

主解析では主要評価のPFSを有意に改善

KRAS G12C変異は大腸癌患者の約3%に発現し、 予後との関連性が指摘されている。

CodeBreaK 300試験の主解析では、 主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)において、 ソトラシブ+パニツムマブ併用療法の標準治療に比した有意な延長が報告されている¹⁾。 今回、 2023年12月18日をデータカットオフ日とする同試験の全生存期間 (OS) を含む最終解析結果が報告された。

>> 主要解析結果はこちら

3群間での無作為化比較で検討

対象

化学療法抵抗性のKRAS G12C変異陽性mCRC患者

18歳以上、 ECOG PS 0~2、 KRAS G12C阻害薬による治療歴なしを条件とした。

方法

160例が以下の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 : 53例
ソトラシブ960mg 1日1回+パニツムマブ6mg/kgを2週毎に投与
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 : 53例
ソトラシブ240mg 1日1回+パニツムマブ6mg/kgを2週毎に投与
  • 標準治療群 : 54例
トリフルリジン/チピラシル (商品名ロンサーフ) またはマルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブより担当医が選択して投与

評価項目

主要評価項目

盲検独立中央判定 (BICR) の評価によるPFS

副次的評価項目

OS、 奏効率 (ORR)

OS有意差の検出力は不十分

患者背景

ソトラシブ960mg+パニツムマブ群、 ソトラシブ240mg+パニツムマブ群、 標準治療群の順に記載

3群間で概ねバランスが取れていた。

  • 年齢中央値 : 63.0歳、 58.0歳、 64.5歳
  • 男性 : 55%、 49%、 44%
  • アジア人 : 11%、 36%、 20%
  • ECOG PS 0 : 60%、 55、 65%
  • ECOG PS 1 : 36%、 42%、 33%
  • ECOG PS 2 : 2%

OS

OS解析はmaturity50%で実行され、 統計学的有意差を評価する検出力はなかった。

追跡期間中央値

  • 13.6ヵ月

死亡イベント発生率

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 :

45% (24例)

  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 :

53% (28例)

  • 標準治療群 : 56% (30例)

中央値(95%CI)

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 : NE
(8.6ヵ月-NE)
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 :

11.9ヵ月

(7.5ヵ月-NE)
  • 標準治療群 : 10.3ヵ月
(7.0ヵ月-NE)

vs 標準治療群のハザード比 (HR)

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群
HR 0.70 (95%CI 0.41-1.18)、 p=0.20
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群
HR 0.83 (95%CI 0.49-1.39)、 p=0.50

PFSは最終解析でも改善

PFS

【中央値(95%CI)】

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 :

5.8ヵ月

(4.2-7.5ヵ月)
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 :

4.0ヵ月

(3.7-5.9ヵ月)
  • 標準治療群 : 2.0ヵ月
(1.9-3.9ヵ月)

【vs 標準治療群のHR】

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群
HR 0.46 (95%CI 0.29-0.72) 
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群
HR 0.57 (95%CI 0.37-0.88) 

その他の副次的評価項目

ORR (95%CI)

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 :

30%

(18.3-44.3%)
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 :

8%

(2.1-18.2%)
  • 標準治療群 : 2%
(0-9.9%)

奏効期間中央値

  • ソトラシブ960mg+パニツムマブ群 : 10.1ヵ月
(範囲 3.1-12.9ヵ月)
  • ソトラシブ240mg+パニツムマブ群 : NR
(範囲 5.6-11.2ヵ月)
  • 標準治療群 : NR
(範囲 5.2-5.2ヵ月)

有害事象 (AE)

新たな安全性シグナルは認められなかった。

ソトラシブ960mg+パニツムマブが新たな治療選択肢に

Fakih氏は 「化学療法抵抗性のKRAS G12C変異陽性mCRCにおいて、 OSにおける有意差は検出されなかったものの、 ソトラシブ960mg+パニツムマブ群では同240mg+パニツムマブ群や標準治療群と比較し、 OSの改善傾向が認められた。 これらの結果は、 ソトラシブ960mg+パニツムマブ併用療法が、 KRAS G12C変異mCRCに対する新たな標準治療であることを支持するものである」 と報告した。

出典

1) N Engl J Med. 2023; 389(23): 2125-2139.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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