海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Han氏らは、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 患者を対象に、 罹患から3年後の残存肺異常および肺機能の縦断的進行の評価を目的とし、 前向き縦断コホート研究で検討した。 その結果、 ほとんどの患者は罹患後経時的にX線異常と肺機能改善を示したものの、 3年経過時点でも肺の異常は持続しており、 呼吸器症状や拡散能の低下と関連していることが明らかとなった。 本研究はEur Respir Jにおいて発表された。
Limitationの1つ目に武漢での研究なので一般化が難しいと記載されています。 ただ武漢発の研究なので特にコロナの診療に携わってきた医療従事者の方々にとっては、 impactが強く武漢と聞くだけで大変な経験が思い出されるのではないでしょうか。
COVID-19から3年後の残存肺異常や肺機能の縦断的進行を評価する必要がある。
中国・武漢の2病院において、 退院時点で肺に異常が残存していたCOVID-19生存患者 : 781例
退院後6ヵ月、 12ヵ月、 2年、 3年に対面診察によるフォローアップ評価を実施し、 回復状態を調べるために、 COVID-19陰性集団を対照とした肺機能検査を用いて肺機能検査、 6分間歩行距離 (6MWD)、 胸部CT検査、 症状等に関する調査を実施した。
主要評価項目
肺の拡散能 (DLCO)、 6分間歩行距離 (6MWD)、 残存肺異常
副次評価項目
呼吸器症状の有無
6ヵ月~3年の間に、 一酸化炭素(CO)に対するDLCO、 6MWD、 残存肺異常は疾患の重症度にかかわらず徐々に改善した。
残存肺異常割合 : 46% vs 36%
p<0.001
DLCO<80%(予測値) : 49% vs 38%
p=0.001
6MWD : 496m vs 510m
p=0.002
3年後に肺の異常が残存していた患者は、 完全に消失していた患者と比較して、 呼吸器症状、 DLCO異常、 6MWDの低下をより一般的に有していた。
呼吸器症状あり : 32% vs 16%
p<0.001
6MWDの低下 : 494m vs 510m
p=0.003
DLCO異常 : 57% vs 27%
p<0.001
3年後の追跡調査結果において、 COVID-19生存者は対照のCOVID-19陰性集団と比較して、 DLCO障害および呼吸器症状を有する割合が有意に高かった。
DLCO障害 : 38% vs 17%
p<0.001
呼吸器症状 : 23% vs 2.2%
p<0.001
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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