第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」

第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」
第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 (JSMO 2025) が、 3月6~8日に神戸コンベンションセンターで開催される。  「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」 をテーマに、 海外演題を含む多彩なプログラムが展開される予定だ。 会長を務める徳島大学大学院消化器内科学分野教授の高山哲治氏に、 今学術集会にかける思いを聞いた。

テーマに込められた思い

各々の遺伝子異常に適した個別化治療の実現を目指して

―本会のテーマに込められた思いは

高山氏 :

近年推進されているがんゲノム医療はいわゆる 「個別化治療」 です。 2019年にがん遺伝子パネル検査が保険収載されましたが、 実際に自身の遺伝子異常に合った薬を使える患者割合は10%未満といわれています。 保険収載されてから6年以上経った現在も状況は改善していません。 また診断がついて有効な薬が見つかったときには、 全身状態が悪化し治療不可能な状態に陥っている患者もいるのが現状です。

このような状況を打破し、 患者一人ひとりが有効ながん治療薬に到達できるような個別化治療を目指したいという思いから、 JSMO 2025のテーマを 「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」 に決定しました。

第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」
学会ポスターの背景は人 (患者) ×遺伝子 (ゲノム) をイメージし、 左側のカプセルが開いている絵は、 遺伝子異常に適した薬が分子レベルの作用をもたらすことを表している (日本臨床腫瘍学会提供)

JSMO 2025発表演題の特徴

一般演題を重視し、 国際化を推進

―今回目指された学術集会の在り方は

高山氏 :

大きな目標の1つは 「国際化」 です。 海外 (特にアジア) 参加者や海外演題の登録増加を目指しました。 また一般演題の質の向上も重視しており、 本学会においては厳正な評価制度のもと、 一般公募演題から特に優れた研究報告をPresidential Sessionとして採択しています。 一般口演 (Oral SessionやMini Oral Session) でも良質な研究が多数発表されるので、 期待していただきたいと思います。

注目プログラム

Presidential Session : 初出の研究も多数

―注目プログラムについて教えてください

高山氏 :

質の高い研究発表で構成されているPresidential Sessionです。 幅広いがん領域において発表が行われ、 中には本学会初出のデータが公表される演題も含まれ、 新たなエビデンスをいち早く知ることができる場になっています。 また海外からの応募演題も約500題あるため、 グローバルな議論の展開が期待できるでしょう。

会⻑企画シンポジウム : がん医療の最新トレンドに着目

―ほかのプログラムはいかがでしょうか

高山氏 :

テーマ 「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」 に沿い、 近年のがん医療のトレンドに着目した7つの会長企画シンポジウムを予定しています。 中でも特に注目のセッションは以下の4演題です。

❶ゲノム医療で推奨された保険適応外薬をどのように使うか?

会長企画シンポジウム2 / 現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月6日 (木) 14:00~15:30

会場 : 第2会場

司会 :武藤学氏 / 織田克利氏

京都大学 腫瘍内科学講座 / 東京大学大学院 統合ゲノム学
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❷激論!『条件付き承認制度』の活用はドラッグ・ロス対策に有用か!?

会長企画シンポジウム3 / 現地+オンデマンド配信

日時 : 3月6日 (木) 10:10~11:40

司会 : 米盛勧氏 / 中井清人氏

国立がん研究センター中央病院腫瘍内科 / 厚生労働省
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❸ctDNAに基づくがん治療

会長企画シンポジウム 4 / 現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月7日 (金) 8:20~9:50

会場 : 第1会場

司会 : 佐藤 康史氏/ François-Clément Bidard氏

徳島大学大学院地域消化器・総合内科学/Institut Curie
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❹がん遺伝子パネル検査は1次治療開始前に実施するべきか?

会長企画シンポジウム6 / 現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月8日 (土) 14:00~15:30

司会 :馬場英司氏 / 武藤学氏

九州大学連携腫瘍学 /京都大学 腫瘍内科学講座
第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」

海外演題 : 日本の研究に対する海外評価に注目

―海外演題のおすすめも教えてください

高山氏 :

Presidential Sessionに採択された以下の海外演題3題は、 特に価値の高い演題でしょう。

Presidential Session 1 呼吸器 血液

現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月6日 (木) 8:30~11:10

第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」

Presidential Session 2 泌尿器 頭頸部 TR・臨床薬理

現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月7日 (金) 15:00~17:40

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Presidential Session 4 肝胆膵 希少がん 乳腺

現地+ライブ配信+オンデマンド配信

日時 : 3月8日 (土) 08:30~11:10

第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 会長・高山哲治氏に聞く 「JSMO 2025の見どころ」

ディスカッションにも海外の先生方が参加されるので、 主に日本で実施された研究に対する海外医師の評価に注目です。

HOKUTO医師会員へのメッセージ

―JSMO 2025に参加検討中のHOKUTO医師会員へメッセージをお願いいたします

高山氏 :

開催地・神戸コンベンションセンターは神戸駅からのアクセスも良好ですので、 ぜひ現地にお越しください。 一部演題はオンラインでライブ配信やオンデマンド配信を行いますので、 現地参加が難しい場合や現地参加後の復習にもご活用いただき、 積極的に新しい治療法の知見を得ていただきたいと思います。 さらに今回より、 演者許諾のある一部指定演題*に限りスライド撮影・SNS投稿が解禁になったため、 SNSも併せてご注目ください。

*対象 : シンポジウム (SY/PSY)、 海外学会との合同シンポジウム (AJS/ EJS/ APJS/SJS)、 国内学会との合同シンポジウム (JS)、 委員会企画 (CP)、 医学生・研修医のための腫瘍内科セミナーのうち演者許諾のある演題のみ (※必ず演題一覧ページにて対象演題かどうかをご確認ください)

開催概要

名称

第22回⽇本臨床腫瘍学会学術集会

会期

2025年3⽉6⽇ (⽊) ~8⽇ (⼟)

会場

神⼾コンベンションセンター

(神戸国際会議場、 神戸国際展示場、 ポートピアホテル)

会⻑

⾼⼭哲治

徳島⼤学⼤学院医⻭薬学研究部消化器内科学分野教授

開催形式

現地

(現地主体、 ⼀部Live配信+オンデマンド配信)

テーマ

Precision Oncology Toward Practical Value for Patients

演題募集期間

2024年6⽉14⽇~10⽉1⽇、 Late breaking abstractsは12月中旬まで

全体⽬標

参加者数8,000⼈、 演題数1,300題

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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