メイヨークリニック感染症科 松尾貴公
15日前
Incidence, Microbiological Studies, and Factors Associated With Prosthetic Joint Infection After Total Knee Arthroplasty
人工膝関節置換術は、 肥満や高齢化の影響によりアメリカで最も頻度の高い選択的手術の1つです。 これに伴うPJIは、 死亡や関節予後だけでなく、 入院や治療に伴う医療コストの増加として非常に注目を集めています。
PJIに関する疫学とリスクファクターを、 79,367例という大規模なVAのデータをもとに同定した重要な研究の一つです。 PJIの全感染時期で最も頻度の高いStaphylococcus aureusが全体の約1/3を占めており、 特に早期PJIでは約40%にも達していたことから、 治療の初期段階では必ず考慮する必要があります。
早期PJIでは、 特にPseudomonas aeruginosa (3.4%) やEnterobacter species (4.1%) などを中心としたグラム陰性菌の割合が約15%と高いことから、 最も頻度の高いグラム陽性菌に加え、 グラム陰性菌をカバーする治療が推奨されます。 このような状況で同定されるグラム陰性菌は、 術前予防抗菌薬として使用されるセファゾリンではカバーできないことがほとんどです。 そのため、 PJIを疑った際には広域抗菌薬の選択の際に念頭に入れる必要があります。
PJIの発生率は早期 (26.8件/1万人月)、 遅延 (5.4件/1万人月)、 晩期 (1.3件/1万人月) と徐々に減少しているにもかかわらず、 24ヵ月以降も一定の割合でみられています。 そのため、 定期的なフォローアップによる早期発見と治療が必要です。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。