【ADRIATIC】LS-SCLCへのデュルバルマブ地固め療法でOS・PFS改善
著者

HOKUTO編集部

3ヶ月前

【ADRIATIC】LS-SCLCへのデュルバルマブ地固め療法でOS・PFS改善

【ADRIATIC】LS-SCLCへのデュルバルマブ地固め療法でOS・PFS改善
cCRT後にPDを認めなかったLS-SCLCに対する抗PD-1抗体デュルバルマブ±抗CTLA-4抗体トレメリムマブ地固めの有効性および安全性について、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相国際共同二重盲検無作為比較試験ADRIATICの初回中間解析より、 デュルバルマブ単剤 vs プラセボの結果が報告され、 デュルバルマブ単剤によるOSおよびPFSの有意な延長が示された。 米国・Sarah Cannon Research InstituteのDavid R. Spigel氏が発表した。 

デュルバルマブ地固めはLS-SCLCに有効か

限局型小細胞肺癌 (LS-SCLC) の標準治療は、 プラチナ製剤をベースとした同時化学放射線療法 (cCRT) ±予防的頭蓋照射 (PCI) である。

切除不能なStageIIIの非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象にcCRT後の地固めデュルバルマブを検討した第Ⅲ相PACIFIC試験では、 PFSおよびOSの有意な改善が示された¹⁾²⁾。

ADRIATIC試験では、 cCRT後に病勢進行 (PD)を認めなかったLS-SCLC患者に対する地固め療法として、 デュルバルマブ±トレメリムマブが評価された。

主要評価はOSとPFS

対象

cCRT後に進行しなかったLS-SCLC患者

WHO PS 0~1、 無作為化前の予防的頭蓋照射は許容とした。

方法

730例のうち、 最初の600例は下記の3群に1 : 1 : 1の割合で、 残りの130例はデュルバルマブ群とプラセボ群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。 治療は病勢進行または許容できない毒性の出現まで、 もしくは最大24ヵ月継続された。

今回は最初の中間解析として、 デュルバルマブ群とプラセボ群の結果が報告された。

  • デュルバルマブ群 : 264例
デュルバルマブ1,500mgを4週毎に投与
  • プラセボ群 : 266例
プラセボを4週毎に投与
  • デュルバルマブ+トレメリムマブ群 : 200例
デュルバルマブ1,500mg+トレメリムマブ75mgを4週毎に4回投与→デュルバルマブ1,500mgを4週毎に投与

評価項目

主要評価項目

デュルバルマブ群 vs プラセボ群のOS・PFS

副次的評価項目

デュルバルマブ+トレメリムマブ群 vs プラセボ群のOS・PFS、 安全性

2年OS率は68%、 3年OS率は56.5%

患者背景

  • 年齢中央値 : 62.0歳
  • 男性 : 67.4~70.7%
  • WHO PS 0 : 47.4~50.0%
  • 化学療法歴内訳

シスプラチン+エトポシド : 65.5~66.9%

カルボプラチン+エトポシド : 33.1~34.5%

  • 放射線照射歴内訳

1日1回 : 70.3~73.9%

1日2回 : 26.1~29.7%

  • 予防的頭蓋照射歴 : 53.8%

治療状況

データカットオフ時点*での治療継続割合

  • デュルバルマブ群 : 0%
  • プラセボ群 : 0%
*2024年1月15日

最大24ヵ月時点での治療完了割合

  • デュルバルマブ群 : 33.5%
  • プラセボ群 : 26.4%

主要評価項目

OS

今回はOS率(24ヵ月、 36ヵ月時)の中間解析の結果が報告された。 データカットオフ時点でのイベント発生数は242件、maturityは46.2%だった。

【追跡期間中央値】

  • 37.2ヵ月
(範囲0.1-60.9ヵ月)

【中央値(95%CI)】

  • デュルバルマブ群 : 55.9ヵ月
(37.3ヵ月-NE)
  • プラセボ群 : 33.4ヵ月
(25.5-39.9ヵ月)
HR 0.73 (95%CI 0.57-0.93)、 p=0.0104

【OS率(24ヵ月時、 36ヵ月時)】

  • デュルバルマブ群 : 68.0%、 56.5%
  • プラセボ群 : 58.5%、 47.6%

【サブグループ解析】

事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 デュルバルマブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

PFS

今回はOS率(18ヵ月、 24ヵ月時)の中間解析の結果が報告された。 データカットオフ時点でのイベント発生数は308件、maturityは58.8%だった。

【追跡期間中央値】

27.6ヵ月

(範囲0.0-55.8ヵ月)

【PFS中央値(95%CI)】

  • デュルバルマブ群 : 16.6ヵ月
(10.2-28.2ヵ月)
  • プラセボ群 : 9.2ヵ月
(7.4-12.9ヵ月)
HR 0.76 (95%CI 0.61-0.95)、 p=0.0161

【PFS率(18ヵ月時、 24ヵ月時)】

  • デュルバルマブ群 : 48.8%、 46.2%
  • プラセボ群 : 36.1%、 34.2%

【サブグループ解析】

事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 デュルバルマブ群のプラセボ群に対する優位性が一貫して認められた。

有害事象 (AE) 発現率

【Grade3/4のAE】

  • デュルバルマブ群 : 24.4%
  • プラセボ群 : 24.2%

【重篤なAE】

  • デュルバルマブ群 : 29.8%
  • プラセボ群 : 24.2%

【Grade3/4の免疫関連AE】

  • デュルバルマブ群 : 5.3%
  • プラセボ群 : 1.5%

【治療中止に至ったAE】

  • デュルバルマブ群 : 16.4%
  • プラセボ群 : 10.6%

【死亡に至った治療関連AE】

  • デュルバルマブ群 : 0.8%
  • プラセボ群 : 0%

【全Gradeの肺炎/放射線肺臓炎】

  • デュルバルマブ群 : 38.2%
  • プラセボ群 : 30.2%

【Grade3/4の肺炎/放射線肺臓炎】

  • デュルバルマブ群 : 3.1%
  • プラセボ群 : 2.6%

【死亡に至った肺炎/放射線肺臓炎】

  • デュルバルマブ群 : 0.4%
  • プラセボ群 : 0%

【治療中止に至った肺炎/放射線肺臓炎】

  • デュルバルマブ群 : 8.8%
  • プラセボ群 : 3.0%

デュルバルマブ地固めが新しい標準治療に

Spigel氏は 「LS-SCLC患者に対するcCRT後の地固め療法としてのデュルバルマブ投与は、 プラセボと比較し、 OSとPFSを有意に改善させた。 またデュルバルマブは忍容性が高く、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 この結果より地固め療法としてのデュルバルマブは、 cCRT後にPDを認めなかったLS-SCLC患者の新たな標準治療となるだろう」 と報告した。


出典

1) N Engl J Med. 2017; 377: 1919-1929.

2) N Engl J Med. 2018; 379: 2342-2350.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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