【NEJM】MRI陰性の前立腺癌は生検の省略が可能
著者

海外ジャーナルクラブ

23日前

【NEJM】MRI陰性の前立腺癌は生検の省略が可能

【NEJM】MRI陰性の前立腺癌は生検の省略が可能
Hugossonらは、 前立腺癌のスクリーニングにおける前立腺特異抗原 (PSA) とMRIの有効性を無作為化比較試験で検討した。 その結果、 MRI陰性の前立腺癌患者に対する生検を省略することで、 臨床的に重要でない前立腺癌の診断が大幅に減少することが示された。 本研究はNEJM誌にて発表された。 

📘原著論文

Results after Four Years of Screening for Prostate Cancer with PSA and MRI. N Engl J Med. 2024 Sep 26;391(12):1083-1095. PMID: 39321360

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

スウェーデンの単施設でのRCTであるため、 多くが白人で、 最高齢が67歳という点がlimitationとなります。

🔢関連コンテンツ

前立腺癌の積極的監視療法、 10年後も約半数が進行なく未治療

JAMA. 2024 Jun 25;331(24):2084-2093.

根治的前立腺切除後の救済放射線治療、 2年の長期ホルモン療法を併用すべきか

Lancet. 2024 Jun 1;403(10442):2416-2425.

背景

MRIによる前立腺癌スクリーニングの有効性・安全性には追跡調査が必要

MRIによる前立腺癌スクリーニングの有効性と安全性は、 スクリーニング試験を通じた追跡調査が必要とされている。

研究デザイン

系統的生検とMRI標的生検に分けて評価

本試験は、 PSAスクリーニングに参加した50~60歳の男性を対象に行われた。 PSA値3ng/mL以上の男性が、 以下の群に無作為に割り付けられた。

  • 系統的生検群 : 6,578例
MRIの結果に関わらず系統的生検を実施し、 MRIで前立腺癌が疑われる病変を認めた場合は標的生検を実施
  • MRI標的生検群 : 6,575例
MRI標的生検のみを実施

PSA値に応じて、 2年後・4年後・8年後に再スクリーニングを行った。

主要評価項目は臨床的に重要でない前立腺癌*¹の発見、 副次評価項目は臨床的に重要な癌*²の発見とした。 また、 進行癌や高リスク癌*³の発見についても評価された。

*¹国際泌尿器病理学会 [ISUP] Grade 1
*²ISUP Grade2以上
*³転移性またはISUP Grade4もしくは5

結果

追跡期間中央値3.9年の時点で、 系統的生検群の4.5% (298/6,578例)、 MRI標的生検群の2.8% (185/6,575例) で前立腺癌が発見された。

臨床的に重要な癌・重要でない癌検出のリスクは、 いずれもMRI標的生検群で低い

臨床的に重要でない癌が検出される相対リスクは、 系統的生検群と比較してMRI標的生検群で0.43 (95%CI 0.32-0.57、 p<0.001) であった。 このリスクは、 初回スクリーニング時よりも再スクリーニング時で低かった (相対リスク 0.25 vs 0.49)。

臨床的に重要な癌が検出される相対リスクは、 系統的生検群と比較してMRI標的生検群で0.84 (95%CI 0.66-1.07) であった。

進行癌または高リスク癌の発見は系統的生検群で多い

進行癌または高リスク癌は、 系統的生検群で23例、 MRI標的生検群で15例が確認された。 これらはスクリーニングで発見、 あるいは中間期癌として発見された。

結論

MRI陰性例への生検省略で、臨床的に重要でない前立腺癌診断が半減

著者らは 「MRI陰性の患者で生検を省略したことで、 臨床的に重要でない前立腺癌の診断が半減した。 また、 生検を省略しても、 治癒困難な癌がスクリーニング時および中間期癌として診断されるリスクは極めて低かった」 と報告している。


※X (旧Twitter) の利用規約に基づき、 サブライセンスが認められている埋め込み形式でポストを紹介しています。 掲載停止のご希望がある場合は、 XのHOKUTO公式アカウント (@HOKUTOmed) までDMでご連絡をお願いします。

ポストのGif画像
【NEJM】MRI陰性の前立腺癌は生検の省略が可能の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【NEJM】MRI陰性の前立腺癌は生検の省略が可能