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23日前
Hugossonらは、 前立腺癌のスクリーニングにおける前立腺特異抗原 (PSA) とMRIの有効性を無作為化比較試験で検討した。 その結果、 MRI陰性の前立腺癌患者に対する生検を省略することで、 臨床的に重要でない前立腺癌の診断が大幅に減少することが示された。 本研究はNEJM誌にて発表された。
スウェーデンの単施設でのRCTであるため、 多くが白人で、 最高齢が67歳という点がlimitationとなります。
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MRIによる前立腺癌スクリーニングの有効性と安全性は、 スクリーニング試験を通じた追跡調査が必要とされている。
本試験は、 PSAスクリーニングに参加した50~60歳の男性を対象に行われた。 PSA値3ng/mL以上の男性が、 以下の群に無作為に割り付けられた。
PSA値に応じて、 2年後・4年後・8年後に再スクリーニングを行った。
主要評価項目は臨床的に重要でない前立腺癌*¹の発見、 副次評価項目は臨床的に重要な癌*²の発見とした。 また、 進行癌や高リスク癌*³の発見についても評価された。
追跡期間中央値3.9年の時点で、 系統的生検群の4.5% (298/6,578例)、 MRI標的生検群の2.8% (185/6,575例) で前立腺癌が発見された。
臨床的に重要でない癌が検出される相対リスクは、 系統的生検群と比較してMRI標的生検群で0.43 (95%CI 0.32-0.57、 p<0.001) であった。 このリスクは、 初回スクリーニング時よりも再スクリーニング時で低かった (相対リスク 0.25 vs 0.49)。
臨床的に重要な癌が検出される相対リスクは、 系統的生検群と比較してMRI標的生検群で0.84 (95%CI 0.66-1.07) であった。
進行癌または高リスク癌は、 系統的生検群で23例、 MRI標的生検群で15例が確認された。 これらはスクリーニングで発見、 あるいは中間期癌として発見された。
著者らは 「MRI陰性の患者で生検を省略したことで、 臨床的に重要でない前立腺癌の診断が半減した。 また、 生検を省略しても、 治癒困難な癌がスクリーニング時および中間期癌として診断されるリスクは極めて低かった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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