HOKUTO通信
2年前
円安で輸入品の値段が上がる。 それは医療機器とて例外ではない。 今回は、 主に輸入に頼っている医療機器を紹介する。 1位は整形外科でおなじみのあの器具だ。
医療機器の生産や輸入の動向は、 厚生労働省が 「薬事工業生産動態統計」 でまとめている。 最新の統計 (2020年) では、 約5兆円の医療機器需要に対し、 国内生産約2.4兆円、 輸入約2.6兆円で対応している。 全体として、 輸入が国内生産をわずかに上回っている。
まず、 薬機法上の類別名称で分けて輸入額の規模をみると、 上位は以下のようになる。
ただ、 この分類は複数の医療機器を含む。 また、 国内で大量生産もしている医療機器もあり、 輸入に依存しているかは判断しづらい。 ニッセイ基礎研究所の調査では、 輸入額が200億円以上あり、 なおかつ 国内生産が200億円以下、 つまり国内需要の多くを輸入に頼っている医療機器を個別にピックアップしている。
同研究所の篠原拓也主席研究員によると、 さきほどの条件に該当する医療機器は17個あった。 このうち輸入額が一番大きいのは、 整形外科でよく使われる脊椎内固定器具 (543億円) だ。 2位も整形外科で使われる人工股関節大腿骨コンポーネント (476億円)、 3位は循環器内科でおなじみの冠動脈ステント (452億円) と続く。
4位の植込み型心臓ペースメーカ (365億円) は循環器内科、 5位の心臓用カテーテル型電極 (357億円) も循環器内科、 とトップ5は整形外科と循環器内科で占めた。
今年に入ってから急激に円安が進み、 これらの医療機器の調達コストは高まると病院経営、 引いては勤務医の待遇などに影響が出る懸念はないのか。
篠原主席研究員は 「長期契約などで為替リスクをヘッジしていると考えられるので、 即座に調達コストが高まることはない」 とした上で 「円安が長く続くと、 病院収益などに一定の悪影響を与える可能性はある」 と指摘している。
篠原主席研究員の詳しいレポートはこちら
厚労省の薬事工業生産動態統計調査 (2020年) 概要はこちら
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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