【AMPLITUDE】HRR陽性mCSPC、 ニラパリブ上乗せでrPFS改善
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HOKUTO編集部

24日前

【AMPLITUDE】HRR陽性mCSPC、 ニラパリブ上乗せでrPFS改善

【AMPLITUDE】HRR陽性mCSPC、 ニラパリブ上乗せでrPFS改善
相同組換え修復 (HRR) 関連遺伝子変異を有する転移性去勢感受性前立腺癌 (mCSPC) を対象に、 PARP阻害薬ニラパリブ (NIRA) のアンドロゲン受容体経路阻害薬 (ARPI) アビラテロン+プレドニゾン (AAP) への上乗せの有効性および安全性をAAP+プラセボと比較評価した国際多施設共同第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験AMPLITUDEの結果から、 画像上のPFSおよび症状の増悪までの時間 (TSP) が有意に改善した。 英・University College LondonのGerhardt Attard氏が発表した。

背景

HRR陽性mCRPCではrPFSが有意に改善

HRR遺伝子変異を有するmCSPCは予後不良である¹⁾。 mCSPCにおいて、 アンドロゲン除去療法 (ADT) ±ドセタキセル+ARPIが標準治療とされている。

第Ⅰb相試験BEDIVEREでは、 NIRAとAAPとの間に薬物間相互作用がないことが確認された²⁾。 また、 HRR遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) 患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験MAGNITUDEでは、 プラセボ+AAPと比べてNIRA+AAPで画像上の無増悪生存期間 (rPFS) 中央値が有意に改善した³⁾。

そこで第Ⅲ相試験AMPLITUDEでは、 さらに早期のHRR遺伝子変異を有するmCSPC患者を対象に、 NIRA+AAPの有効性および安全性が評価された。

試験の概要

対象はHRR変異≧1を有するmCSPC

BRCA1、 BRCA2、 BRIP1、 CDK12、 CHEK2、 FANCA、 PALB2、 RAD51B、 RAD54Lのうち1つ以上のHRR遺伝子に変異を有するmCSPC患者696例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • NIRA+AAP群 : 348例
NIRA200mg+アビラテロン1,000mg+プレドニゾン5mgを1日1回+ADT
  • AAP群 : 348例
NIRAの代わりにプラセボを投与

対象患者は最大6ヵ月のADT、 最大6サイクルのドセタキセル療法、 最大45日間のAAPを受けていた。 層別因子は遺伝子変異 (BRCA2CDK12、 それ以外)、 ドセタキセルの前治療歴 (あり、 なし)、 腫瘍量 (高、 低) であった。

主要評価項目はrPFS、 階層的検定実施

主要評価項目は担当医師によるrPFS、 重要な副次評価項目はTSP、 全生存期間 (OS)、 安全性であった。

本試験では、 主要評価項目および2つの重要な副次評価項目に対して、 グラフィカルアプローチによる群逐次解析デザインが採用された。 解析は階層的に行われ、 まずBRCA1/2変異を有する患者群、 次いでHRR変異を有する全集団に対して検定が実施された。

今回の発表は、 データカットオフが2025年1月7日、 追跡期間中央値30.8ヵ月におけるrPFSの最終解析およびTSPとOSの最初の中間解析に基づく。

試験の結果

患者背景は両群で同様

患者背景はNIRA+AAP群/AAP群の両群間でバランスが取れていた。 年齢中央値はそれぞれ68歳/67歳、 初回診断時グリソンスコア≧8は79%/75%、 診断時の病期がM1は86%/87%、 高腫瘍量は77%/78%、 ドセタキセルの前治療歴ありは両群とも16%、 BRCA1/2変異は55%/56%であった。

rPFS中央値は未到達、 画像上の増悪・死亡リスクが37%低減

全集団におけるrPFS中央値はAAP群の29.5ヵ月 (95%CI 25.8ヵ月-NR) と比べてNIRA+AAP群で未到達と有意に改善した (HR 0.63 [95%CI 0.49-0.80]、 p=0.0001)。

BRCA1/2変異陽性患者ではさらに良好な結果が示された (HR 0.52 [95%CI 0.37-0.72]、 p<0.0001)。 その他のサブグループにおいてもNIRA+AAP群のベネフィットが概ね一貫して認められた。

TSPも改善、 症状進行リスクが50%低減

全集団におけるTSP中央値は両群とも未到達であり、 NIRA+AAP群で有意な改善を示した (HR 0.50 [95%CI 0.36-0.69]、 p<0.0001)。

BRCA1/2変異陽性患者ではさらに良好な結果が示された (HR 0.44 [95%CI 0.29-0.68]、 p=0.0001)。

OSは改善傾向も有意差は認められず

OSデータはimmatureで、 全集団において両群間に有意差は認められなかったが、 NIRA+AAP群で改善傾向がみられた (HR 0.79 [95%CI 0.59-1.04]、 p=0.10)。

BRCA1/2変異陽性患者でも同様に、 NIRA+AAP群で改善傾向が示された (HR 0.75 [95%CI 0.51-1.11]、 p=0.15)。

BRCA1/2陽性で一貫してより良好な結果

BRCA1/2変異陽性例では、 他の遺伝子変異陽性例よりもrPFS、 TSP、 OSが良好な傾向がみられた。

次治療を受けた患者の割合は、 NIRA+AAP群77%/AAP群で81%であり、 その内訳は化学療法がそれぞれ83%/76%、 ARPIは26%/23%、 PARP阻害薬は11%/36%であった。

安全性プロファイルは既報と一致

安全性プロファイルは既報と一致しており、 新たな安全性シグナルは検出されなかった。 Grade 3/4の有害事象 (AE) はNIRA+AAP群で75.2%、 AAP群で58.9%に発現し、 貧血 (29.1%、 4.6%)、 高血圧 (26.5%、 18.4%) が多く認められた。 AEによる中止率はNIRA+AAP群が15%で、 AAP群の10%と比べて高かったが、 増加分は5%㌽未満であった。

結論

HRR変異陽性mCSPCへの標準治療NIRA+AAPを支持

Attard氏は 「HRR遺伝子変異を有するmCSPCにおいて、 NIRA+AAPはAAPと比べてrPFSおよびTSPを有意に改善し、 いずれも特にBRCA1/2変異を有する患者で顕著であった。 また、 OSデータはimmatureで有意差は示されなかったものの、 NIRA+AAPで改善傾向が認められた。 安全性プロファイルは既報と一致しており、 新たな安全性シグナルは検出されなかった。 OSの最終解析結果が待たれるが、 本試験の結果は、 HRR遺伝子変異を有するmCSPC患者に対する早期ゲノム検査の重要性と、 新たな標準治療としてのNIRA+AAPを支持するものである」 と報告した。

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出典

¹⁾ Ann Oncol. 2025 May 28:S0923-7534(25)00739-2.
²⁾ Cancer Chemother Pharmacol. 2021 Jul;88(1):25-37.
³⁾ J Clin Oncol. 2023 Jun 20;41(18):3339-3351.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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