海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Hungriaらは再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に、 抗BCMA抗体薬物複合体belantamab mafodotin+ボルテゾミブ+デキサメタゾン (BVd) 併用療法の有効性および安全性について、 第Ⅲ相多施設共同非盲検無作為化比較試験DREAMM-7で検討した。 その結果、 BVd療法は抗BCMA抗体ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン (VDd) 併用療法と比べ、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した。 本研究はNEJMにおいて発表された。
よくあることですが、 本文の結論はabstractの結論と異なり強いトーンで書かれています。
"the strong results for progression-free survival and the deep and durable response with BVd support the potential for BVd to become a therapeutic option"
多発性骨髄腫患者の1次治療ではプロテアソーム阻害薬、 免疫調節薬、 抗CD38モノクローナル抗体を含む3剤または4剤併用療法が行われる。 ほとんどの患者は1次治療後に病勢進行 (PD) を認めることから、 新たな治療薬を含めた有効な2次治療の開発が求められている。
本研究では、 再発または難治性の多発性骨髄腫患者に対する新たな治療選択肢としてBVd療法の効果が検討された。
対象は1レジメン以上の治療後に増悪した、 再発・難治性の多発性骨髄腫患者 494例で、 以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
- BVd群 : 243例
- DVd群 : 251例
主要評価項目はPFS、 副次評価項目は全生存期間(OS)、 奏効期間、 微小残存病変 (MRD) 陰性状態などに設定された。
追跡期間中央値28.2ヵ月 (範囲 0.1-40.0) で、 BVd群はPFSを有意に改善した (p<0.001)。
- BVd群 : 36.6ヵ月 (95%CI 28.4ヵ月-NR)
- DVd群 : 13.4ヵ月 (11.1-17.5ヵ月)
PDまたは死亡のHR : 0.41 (0.31-0.53)
18ヵ月時OS率はBVd群 84%、 DVd群 73%であった。 また、 制限つき平均奏効期間の解析では、 BVd群がDVd群と比べて優れていた (p<0.001)。
完全奏効以上かつMRD陰性を達成した患者割合は、 BVd群 25%、 DVd群 10%であった。
安全性評価の結果を以下に示す。 眼有害事象はBVd 群で DVd 群より頻度が高かったが、 用量変更で管理され、 視力低下はほとんどの患者で消失が認められた。
- BVd群 : 95%
- DVd群 : 78%
- BVd群 : 79%
- DVd群 : 29%
著者らは 「少なくとも1種類の治療後に増悪した再発または難治性の多発性骨髄腫において、 BVd療法はDVd療法に比べ、 PFSに関する有益性を示した。 ほとんどの患者にGrade 3以上の有害事象が認められたが、 PFSに関する強い有効性および持続的反応から、 同治療法は初回再発または再発後の多発性骨髄腫に対する治療選択肢となる可能性を裏付けている」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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