海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Litzowらは、 測定可能残存病変 (MRD) 陰性の成人B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病 (BCP-ALL) を対象に、 地固め療法としての二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブ上乗せの有効性について、 第Ⅲ相無作為化比較試験E1910で検討した。 その結果、 ブリナツモマブの追加投与により全生存期間 (OS) の有意な改善が示された。 本研究はNEJMにおいて発表された。
結論が5行で端的に記載されており、 ブリナツモマブのadd on効果を明確に示しています。
短い結論の記載はその効果を裏付けています。 反対に長い結論の場合には効果の不確かさを暗に示しています。
併用化学療法によりMRD陰性の完全寛解を認めたBCP-ALLの成人患者の多くは、 MRD陽性例に比べて予後が良好にもかかわらず再発する。
ブリナツモマブは再発・難治性のMRD陽性BCP-ALLに対して承認されている。 そのためブリナツモマブの追加投与は、 MRD陰性寛解患者にも有効な可能性がある。
対象
30~70歳で導入化学療法および強化化学療法後にMRD陰性寛解*を達成していたBCR融合ABL1遺伝子陰性のBCP-ALL患者:224例
介入
患者を1 : 1の割合で以下の2群に無作為に割り付けた。
- ブリナツモマブ群 : 112例
- 化学療法単独群 : 112例
評価項目
主要評価項目はOS、 副次評価項目は無再発生存期間(PFS)と設定された。
追跡期間中央値43ヵ月で、 3年OS率やPFS率は下記の通りであった。
3年OS率
- ブリナツモマブ群 : 85%
- 化学療法単独群 : 68%
HR 0.41 (95%CI 0.23-0.73)、 p=0.002
3年PFS率
- ブリナツモマブ群 : 80%
- 化学療法単独群 : 64%
HR 0.53 (95%CI 0.32-0.87)
安全性
ブリナツモマブ群では化学療法単独群に比べて神経精神系有害事象の発現率が高かった。
著者らは 「導入化学療法および強化化学療法後にMRD陰性寛解を達成していたBCR融合ABL1遺伝子陰性のBCP-ALLに対し、 地固め療法にブリナツモマブを追加することで、 OSが有意に改善した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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