寄稿ライター
2ヶ月前
新NISAをしている先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第26回は、 米トランプ政権の政策により不透明感が増すものの、 依存として投資対象として人気を集めている 「S&P500」 について解説します。
NISAでは運用益が非課税となる一方で、 損益通算ができません。 つまり、 損失を出しても他の利益と相殺することができず、 そのまま損として確定してしまいます。 したがって、 NISAでは 「負けない投資」 を重視すべきです。
その観点で注目されるのが、 インデックス投資の王道である 「S&P500」 です。 これはアメリカの代表的な上場企業500社に分散投資する詰め合わせパックで、 安定した成長が期待できる資産クラスとして広く知られています。
上のグラフは、 1926年以降にS&P500に15年間投資した場合のリターンを示したもので、 すべての期間でプラスになっているという結果となっています。 ドル建てのため、 為替は考慮されていません。
分割投資はリターン面でやや劣るものの、 暴落など相場変動の影響を和らげられるため、 初心者やメンタル面で慎重な投資家に向いていると言えます。
注目なのは、 どの年から投資を始めても15年以上の期間保有すれば損をしないことです。 この再現性の高さは、 S&P500の大きな魅力です。 世界恐慌など大きな経済危機を含む期間でも、 最終的にはプラスに転じており、 長期的な資産形成における強さがうかがえます。
同様の検証を日経平均株価で行うと、 事情は異なります。 上のグラフを見てください。 高度経済成長期やバブル景気時には日本株はハイパフォーマンスを記録していますが、 バブル崩壊以降の 「失われた30年」 が重くのしかかり、 分割投資でも15年保有でマイナスとなる期間が存在します。
分析を進めると、 詳細は割愛しますが、 日本株でプラスリターンが確実になるには、 なんと45年もの保有が必要とされる結果になります。 これに比べると、 米国株、 とりわけS&P500の安定性は際立っており、 NISAでの投資先として優先すべき理由になると考えています。
過去の検証を踏まえると、 15年以上使う予定のない資金はS&P500を通じてNISAで運用するのが理にかなっています。
一方、 高齢の方で近い将来に資金を使う予定がある場合は、 現金や債券などの安全資産を中心に据える方が安心です。 若手医師の場合、 急な出費があっても外勤などで補填しやすく、 積極的な運用が可能な環境にあります。 なるべく多くの余剰資金をNISAで運用し、 複利の力を最大限に活用する戦略が推奨されます。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回は、 S&P500と並んで注目される 「全世界株式」 との比較を行い、 それぞれの特性を詳しく解説します。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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