「日本の腹膜疾患治療をリードしたい」 国立国際医療センター 腹膜センター長・合田良政医師 (前編)
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13日前

「日本の腹膜疾患治療をリードしたい」 国立国際医療センター 腹膜センター長・合田良政医師 (前編)

 「日本の腹膜疾患治療をリードしたい」 国立国際医療センター 腹膜センター長・合田良政医師 (前編)
国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター (東京・新宿) は2026年1月、 腹膜疾患に特化した腹膜センターを設立した。 設立の経緯や意義、 現在の課題を合田良政センター長 (東京医科大卒) に聞いた。 

病院概要

病床数706床、 標榜診療科43科。 2025年4月1日に国立国際医療研究センターと国立感染症研究所が統合して誕生した。 全国に88施設しかない特定機能病院として、 年間1万台以上の救急車を受け入れる。 救命救急や国際感染症、 糖尿病総合診療、 エイズ治療・研究開発、 国際リンパ浮腫など多くの部門を備える。

日本の腹膜疾患治療の拠点をつくりたい

――腹膜センター設立の経緯を教えてください。

「センター構想は数年前からありましたが、 なかなか具体化しませんでした。 2025年に私が医長に就任したことをきっかけに、 設立へと動き出しました」

「センターをつくっても診療体制が大きく変わるわけではありませんが、 『枠組み』の必要性は以前から感じていました。 腹膜疾患の治療は国内では一部の専門施設を中心に行われてきた一方、 病気や治療法はまだ十分に知られていません。 当院には国際感染症センターやエイズ治療・研究開発センターなど専門治療に特化した部門が数多くあり、 その強みを生かして日本の腹膜治療の拠点となるべきだと考えていました」

イギリスのセンターがモデル

――腹膜疾患の治療を始めたきっかけは何ですか。

「私の師匠である矢野秀朗先生が、 英国・ベイジングストークの腹膜悪性疾患専門施設 (Basingstoke and North Hampshire Hospital) に留学し、 技術を持ち帰ったことが始まりです。 同センターは世界有数の症例数を誇り、 当院でも手術の進め方や術後管理、 退院後のケアまでをモデルにしています」

――治療はどのように進むのでしょうか。

「多くの患者さんは、 まず地元の病院で『腹膜に関連する疾患』と診断、 疑われた段階、 あるいは手術を受けた後に当院に紹介されます。 当院で治療の選択肢を説明し、 受診を希望されれば受け入れ、 画像や全身状態を踏まえて治療適応を検討します」

「近隣の患者は3ヵ月に1回、 遠方の患者は半年に1回の通院で経過を確認します。 地元の病院との連携は信頼関係がなければ成り立たないため、 常に丁寧な対応を心がけています」

「大腸がんや卵巣がん、 胃がんなどに伴う腹膜転移の切除には、 別の経験や技術も必要です。 私一人ではカバーできないため、 院内の他診療科・各センターの医師にもチームに加わってもらい、 2週間に1度のMDTカンファレンスで治療方針を検討しています。 多様な診療科の知見を集約できる点でも、 センター化の意義は大きいと考えています」 

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※写真はイメージです

――現段階の課題はありますか。

「腹膜の手術は合併症が多く、 一律に危険であり、 治療対象にならないと受け止めている医師は少なくありません。 そのため、 他院でネガティブな説明を受け、 不安を抱えて来院する患者さんも多いです」

「背景には、 腹膜治療への理解がまだ十分に広がっていない現状があります。 患者さんのみならず、 医師や医療従事者が抱く誤解を解き、 正しい理解を広げることも、 センターの役割だと考えています」

治療法を後進に残すこともセンターの目的

――腹膜疾患に特化したセンターは、 全国的にも足りていないのでしょうか。

「世界には腹膜治療の専門施設が、 イギリスに2施設、 ヨーロッパ各国に2~3施設、 アメリカに50施設以上あり、 欧米では専門施設への集約が進んでいます。 『腹膜治療は誰もが安全に行えるものではなく、 専門施設に集約すべき』というのが世界的な考え方です。 日本でも北海道・関東・関西・九州沖縄に1施設ずつあるのが理想だと考えています」

 「日本の腹膜疾患治療をリードしたい」 国立国際医療センター 腹膜センター長・合田良政医師 (前編)
※写真はイメージです

「今は腹膜治療に限らず、 長時間手術はスタッフ負担が大きく、 働き方改革との両立が課題です。 しかし腹膜疾患には、 長時間の手術でなければ治療が難しい患者さんも少なくありません。 必要な治療を途絶えさせず、 その方法を後進に伝えることも、 このセンターの責務だと考えています」

専門の垣根を越え、 知識を集約する

――日本の腹膜疾患治療をリードするための取り組みを教えてください。

「2026年度の診療報酬改定で、 腹膜偽粘液腫、 腹膜癌の腹膜播種、 腹膜悪性中皮腫に対する『腹膜切除を伴う多臓器合併切除術』が保険適用となりました。 これを機に治療を広く知ってもらうセミナーを開き、 関西を含む国内の専門家にも参加いただき、 有意義な場になりました」

「腹膜疾患には胃がん、 膵臓がん、 卵巣がんの腹膜播種などがあります。 ただ、 私が大腸がんを専門とするため、 当院ではこれまで腹膜偽粘液腫、 大腸がんの腹膜播種、 腹膜悪性中皮腫の3疾患を中心に治療してきました」

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国立国際医療センターのスタッフ

「2025年に北山丈二先生が顧問に就任しました。 北山氏は胃がんの腹膜播種に対する腹腔内化学療法などに取り組んできたパイオニアで、 これまで十分に対応できなかった疾患にも積極的に向き合えるようになりました」

(>>続く)

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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