HOKUTO編集部
5日前
2024年12月7~10日に米・サンディエゴで開催された米国血液学会 (ASH 2024) について、 T細胞リンパ腫に関する注目トピックスを紹介します (解説 : 大阪国際がんセンター 藤重夫氏)。
T細胞リンパ腫における新規薬剤開発は併用療法でも進みつつあり、 PI3K阻害薬duvelisibにJAK阻害薬ルキソリチニブを上乗せする試験結果が報告された。 もともとPI3K阻害薬抵抗例においてJAK/STATの活性化が問題となっている例が多いのではということを根拠としている。
全体としても高い奏効率を示していた。 症例数的に解釈は難しいが、 濾胞性ヘルパーT細胞リンパ腫 (TFHL) およびT細胞前リンパ球性白血病 (T-PLL) において効果が高かった。
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欧州骨髄移植学会 (EBMT) のレジストリデータを用いたT細胞リンパ腫の造血幹細胞移植の成績に関する検討である。 自家移植患者の転帰は初回完全奏効 (CR1) と初回部分奏効 (PR1) では有意な差があり、 CR1が望ましいことを示していた。
2回目の完全奏効 (CR2) /2回目の部分奏効 (PR2) においても自家移植はまだ許容される成績であったようにも感じたが、 この部分はCR2とPR2に分けられていなかった。 同種移植に関してはCR2/PR2以降の奏効例でも良好な成績を示しており、 有効な治療選択と再確認された。
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国際的な後方視的研究である。 本邦からの参加が限定的ではないかと危惧された。 今回は再発/難治性のT細胞リンパ腫において新たな予後スコアとして「PIRTスコア」を作成し、 同スコアが予後の層別化に有効であることを示した。
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T細胞リンパ腫における治療終了時 (End of treatment) でのcell-free DNA (cfDNA) の意義を検討した研究である。 本試験の特徴は、 本邦からのサンプルに成人T細胞白血病・リンパ腫 (ATL) が多く含まれていることだった。
T細胞リンパ腫におけるcfDNAの研究はB細胞リンパ腫に比べると遅れているが、 本研究の結果、 治療後の再発率予測にctDNAが有用である可能性が示されていた。
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再発/難治性の皮膚T細胞リンパ腫 (CTCL) における抗KIR3DL2抗体lacutamabのQOLにおけるメリットを評価した研究である。 長期的なQOL改善のデータが示されていた。
興味深いのは、 抗腫瘍効果としては安定 (SD) 止まりの症例でもQOLは改善していたという点で、 単純な抗腫瘍効果以外のメリットに関する評価も重要であると感じられた。 lacutamabは国内未承認の薬とはなるが、 今後日本でも開発が進むことを期待したい。
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少数例であるが、 抗PD-L1抗体デュルバルマブ単剤もしくはレナリドミドとの併用療法が検討された。 デュルバルマブ+レナリドミド併用療法はデュルバルマブ単剤に比べて奏効率が高い傾向が見て取れた。
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Cemsidomideは新規のIkaros Family Zinc Finger Protein 1/3 (IKZF1/3) MonoDACセレブロンベースの分解薬であり、 今回の第I相試験においてある程度の奏効例が認められた。 骨髄抑制に注意を要するようであるが、 今後の展開に期待したい。
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末梢性T細胞リンパ腫 (PTCL) における抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+ロミデプシン併用療法の検討であった。 濾胞性ヘルパーT細胞リンパ腫 (TFHL) のサブタイプでは非常に高い効果を示していた。
TFHLはPD-1発現例が多いはずであり、 PD-L1との関連など、 腫瘍上の免疫調整因子の発現と奏効が関連しているのかという点で興味が持たれる。 今回は奏効と関連する因子が非常に詳細に解析されていたが、 全体の症例数が少ない為に、 結論付けるのは難しそうであった。
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PTCLの細胞起源 (cell-of-origin) にフォーカスした生物学的サブタイプ分類である 「PTCL-GATA3」 および 「PTCL-TBX21」 間の比較を、 遺伝子変異の観点で行った研究である。 その中でもCCR4遺伝子変異に重点が置かれていた。
なおCCR4遺伝子変異は、 成人T細胞白血病・リンパ腫 (ATL) に対する抗CCR4抗体モガムリズマブの臨床的有効性との関連も報告されており、 PTCLにおいてもそのような観点での検討がされても良いのではないかと感じた。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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