HOKUTO編集部
4ヶ月前

動脈硬化性心血管疾患を有する2型糖尿病 (DM) 患者を対象に、 GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの心血管保護作用を評価した第Ⅲ相無作為化比較試験SURPASS-CVOTの結果から、 主要評価項目の心血管死・心筋梗塞・脳卒中複合イベント発生抑制において、 GLP-1受容体作動薬デュラグルチドに対するチルゼパチドの非劣性が示された一方で、 優越性は示されなかった。 オーストラリア・Victorian Heart InstituteのStephen Nicholls氏が発表した。
チルゼパチドは、 血糖コントロール改善や体重減少効果に加え、 脂質や腎機能への有益な作用も示されている。 SURPASS-CVOT試験では、 心血管保護効果が確立しているデュラグルチドを対照に、 心血管リスクの高い2型DM患者での心血管アウトカムを検証した。
対象は、 動脈硬化性心血管疾患*を有する40歳以上の2型DM患者だった。
1万3,165例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中の複合イベント発生までの時間で、 まずチルゼパチドのデュラグルチドに対する非劣性を検証し、 続いて優越性を評価した。
年齢中央値、 性別、 人種などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。 ベースライン時に冠動脈疾患の既往ありはチルゼパチド群65.1%、 デュラグルチド群64.9%、 末梢動脈疾患は25.2%/25.4%、 脳卒中は19.0%/19.3%だった。 ベースラインの平均体重は92.6kg/92.5kgで、 平均HbA1cは両群とも8.4%だった。
主要複合エンドポイントの発生までの時間において、 チルゼパチド群はデュラグルチド群に比べてリスクが8%低減した(HR 0.92 [95.3%CI 0.83-1.01])。 事前に規定された非劣性の統計的基準であるHRの95.3%CIの上限値<1.05を満たしたことから、 チルゼパチド群のデュラグルチド群に対する非劣性が示された (非劣性のp=0.003)。
一方で、 事前に規定された優越性の統計的基準である95.3%CIの上限値<1.00は満たせず、 デュラグルチド群に対する優越性は示されなかった(優越性のp=0.086)。
全死亡率はチルゼパチド群8.6%、 デュラグルチド群10.2%であり、 チルゼパチドは死亡リスクを16%低減させた (HR 0.84[95%CI 0.75-0.94])。
ベースラインからの体重変化率はそれぞれ -12.1%/-5.0%で、 HbA1cの変化率は -1.7%/-0.9%だった。
2型DM患者を対象に、 標準治療+デュラグルチドの心血管アウトカムへの影響をプラセボと比較評価した無作為化比較試験REWINDとSURPASS-CVOT試験のマッチングされた患者間で間接比較を行った結果、 チルゼパチド群はREWIND試験のプラセボ群と比べて主要複合エンドポイント (HR 0.72)、 全死亡 (HR 0.61) および心血管死/心不全イベント (HR 0.70) で有意なリスク低減を示した。
一方で、 心血管死単独や拡張複合エンドポイント (主要複合エンドポイント+冠血行再建) では有意差を認めなかった。
有害事象による治療中止はチルゼパチド群で18.7%、 デュラグルチド群で16.7%に報告された。
チルゼパチド群の主な有害事象は悪心 (25.1%)、 下痢 (24.8%)、 食欲減退 (17.1%) で、 忍容性は既知のGLP-1受容体作動薬と同様だった。 重篤な有害事象や死亡率の増加は認められなかった。
Nicholls氏は 「チルゼパチドは、 2型DMにおける心血管イベント発症抑制のための新たな治療選択肢となる可能性がある」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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