【JAMA】重症薬疹を起こしやすい経口抗菌薬5剤
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海外ジャーナルクラブ

1ヶ月前

【JAMA】重症薬疹を起こしやすい経口抗菌薬5剤

【JAMA】重症薬疹を起こしやすい経口抗菌薬5剤
Leeらは、 経口抗菌薬を投与された66歳以上の高齢者を対象に、 重症薬疹の発症リスクについてコホート内症例対照研究を用いて検証した。 その結果、 スルホンアミド系抗菌薬は重症薬疹のリスクが最も高く、 その他4種類の経口抗菌薬においても重症薬疹との関連が示された。 本研究はJAMAにて発表された。 

📘原著論文

Oral Antibiotics and Risk of Serious Cutaneous Adverse Drug Reactions. JAMA. 2024 Aug 8:e2411437. JAMA . 2024 Sep 3;332(9):730-737. PMID: 39115856

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

経口抗菌薬と重篤な薬疹との関連で、 スルホンアミド系抗菌薬 (サルファ剤)、 セフェム、 ペニシリン、 キノロンは日常臨床での認識と一致すると思います。 なお、 ニトロフラントイン系抗菌薬は日本では販売されていません。

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薬疹の診断基準 (SJS/TEN/DIHS)

重症薬疹の診断基準

SCORTENスコア

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背景・目的

抗菌薬ごとの重症薬疹発症リスクを調査

重症薬疹は、 生命を脅かす可能性のある薬物過敏症反応であり、 抗菌薬がその主な原因として知られている。 しかし、 抗菌薬の種別に重症薬疹の発症リスクを比較した研究はこれまで実施されていない。

【JAMA】重症薬疹を起こしやすい経口抗菌薬5剤
HOKUTO編集部が補足画像として挿入

本研究は、 経口抗菌薬の処方に関連する重症薬疹のリスクを調査し、 重症薬疹によって入院した患者転帰を検証することを目的に行われた。

研究デザイン

カナダ行政保健データベースを活用

2002年4月1日~2022年3月31日に1回以上経口抗菌薬を処方された66歳以上を対象に、 カナダ・オンタリオ州の行政保健データベースを用いたコホート内症例対照研究を実施した。

【JAMA】重症薬疹を起こしやすい経口抗菌薬5剤

対象患者のうち、 抗菌薬の処方後60日以内に重症薬疹*による救急外来を受診または入院を経験した症例群2万1,758例と、 これらのイベントがなく各症例と年齢と性別をマッチさせた対照群8万7,025人を抽出し検証した。

*定義:薬剤性発疹が主診断 (救急外来受診の場合) または入院診断 (入院の場合) である病院受診

マクロライド系抗菌薬と比較し条件付きロジスティック回帰を用いてリスク評価

主要解析では、 マクロライド系抗菌薬を参照群として、 さまざまな種別の経口抗菌薬と重症薬疹との関連について、 条件付きロジスティック回帰を用いて評価した。

研究結果

スルホンアミド系が重症薬疹と最も関連

結果、 重症薬疹と最も強く関連していたのはスルホンアミド系抗菌薬であった。 以下に、 重症薬疹との関連が認められた経口抗菌薬5剤と調整オッズ比 (カッコ内は95%CI)を示す。

 ❶スルホンアミド系   2.9 (2.7-3.1)
 ❷セファロスポリン系  2.6 (2.5-2.8)
 ❸ニトロフラントイン系 2.2 (2.1-2.4)
 ❹ペニシリン系     1.4 (1.3-1.5)
 ❺フルオロキノロン系  1.3 (1.2-1.4)

セファロスポリン系は救急外来受診/入院率が高かった

また、救外受診または入院粗発現頻度は、 セファロスポリン系とスルホンアミド系で高かった。

⚫ セファロスポリン系    4.92件/1,000処方
⚫ スルホンアミド系     3.22件/1,000処方

症例群2万1,758例のうち、 重症薬疹での入院患者は2,852例であり、 患者転帰は以下であった。

⚫ 入院期間中央値  6日 (IQR 3~13日) 
⚫ ICU転院率     9.6%
⚫ 院内死亡率    5.3%

結論

重症薬疹と抗菌薬選択について

著者らは 「一般的に処方される経口抗菌薬の中では、 マクロライド系と比較してスルホンアミド系およびセファロスポリン系が最も重症薬疹リスクが高かった。 臨床的に適切であれば、 より低リスクの抗菌薬を優先的に使用することが推奨される」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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