海外ジャーナルクラブ
17日前

Cummingsらは、 早期アルツハイマー病患者を対象に、 経口セマグルチドによる進行抑制効果を2件の無作為化比較試験 (evoke/evoke+) にて検証した。 なおevoke試験では、 アミロイド病理が確認された患者を対象とし、 evoke+試験では小血管病変を有する患者も組み入れた。 その結果、 どちらの試験でも、 104週時点のベースラインからのClinical Dementia Rating–Sum of Boxes (CDR-SB) スコア変化量に両群間で有意差は認められず、 試験は中止された (セマグルチド群 vs プラセボ群 : 2.3 vs 2.3 [evoke]、 2.2 vs 2.1 [evoke+])。 試験結果はLancet誌に発表された。
セマグルチドによる体重減少や消化器症状などの副作用により、 参加者や研究スタッフが治療群を推測し盲検性が損なわれた可能性があります。 実際に体重減少は有害事象として、 セマグルチド群で36.5%、 プラセボ群で7.4%に報告されています。
2型糖尿病患者や肥満者を対象とした動物研究、 臨床研究、 リアルワールド研究により、 GLP-1受容体作動薬が認知症・アルツハイマー病のリスクを低下させる可能性が示唆されている。
そこで、 早期アルツハイマー病患者における経口セマグルチドの有効性・安全性を検討した。
本研究は、 40ヵ国における第Ⅲ相の多施設共同・二重盲検・プラセボ対照・無作為化比較試験 (evoke/evoke+) である。 対象は55~85歳で、 アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病、 かつ軽度認知障害または軽度認知症を有する患者とし、 evoke+試験では小血管病変を有する患者も組み入れた。
患者は最長156週間、 経口セマグルチド群 (1日1回最大14mgまで) とプラセボ群に1:1で割り付けられた。
主要評価項目は、 無作為化された全患者での、 104週時点のベースラインからのClinical Dementia Rating–Sum of Boxes (CDR-SB) スコアの変化量とした。 安全性は、 1回以上試験薬を投与された患者について評価した。
evoke試験では1,855例 (セマグルチド群 : 928例、 プラセボ群 : 927例)、 evoke+試験では1,953例 (セマグルチド群 : 976例、 プラセボ群 : 977例) が無作為化された。
平均年齢72.2歳、 ベースライン平均CDR-SBスコアは3.7であった。 evoke+試験では、 54例 (2.8%) が小血管病変を有していた。
両試験とも、 104週時点でCDR-SBスコア変化量にセマグルチド群とプラセボ群で有意差は認められず、 中止された。
104週時CDR-SBスコア平均変化量 (標準誤差)
セマグルチド群vsプラセボ群
推定差 -0.08 (95%CI -0.35~0.20、 p=0.57)
推定差 0.10 (95%CI -0.17~0.38、 p=0.46)
有害事象は、 セマグルチド群で1,729例 (91.2%)、 プラセボ群で1,613例 (84.8%) に報告された。 治療関連と判断された死亡は5例 (セマグルチド群 : 1例、 プラセボ群 : 4例) であった。
著者らは、 「経口セマグルチドは、 早期アルツハイマー病患者における進行抑制効果を示さなかった。 安全性と忍容性については、 他適応症での研究結果と一致していた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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