HOKUTO編集部
6ヶ月前

2025年10月17~21日に独・ベルリンで開催された 「欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) 」の注目演題について、 専門医解説およびHOKUTO編集部のレポート記事をまとめて掲載いたします。

10月17~21日に開催された欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) では、乳癌領域においても多数の興味深い発表がありました。 本稿では、早期乳癌 (EBC) と転移・再発乳癌 (MBC) それぞれにおいて報告された試験と概要をサブタイプごとに整理し、 今後の実臨床に影響する重要なトピックスについて紹介します。

今回、 肝胆膵領域に関する発表演題の中では、 直ちに日常診療を大きく変えるような発表は少なかったものの、 KRAS阻害薬、 抗体薬物複合体(ADC)、 そして放射性リガンド療法と、 数年後には確実に肝胆膵領域の診療を変えるであろう発表が多く、 新たな時代の到来を感じさせるものが多くみられました。 国立がん研究センター東病院肝胆膵内科医長の今岡大先生に、 注目の3演題を紹介いただきます。

今年の欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) では、 泌尿器領域から4演題がPresidential Symposiumに採択されました。 ここ数年、 泌尿器癌領域の薬物治療における重要な研究成果はESMOで報告されることが多く、 今年も抗体薬物複合体 (ADC) 製剤、 ctDNA、 前立腺特異的膜抗原 (PSMA) と、 ここ数年の"HOT TOPIC"となっている内容が目白押しでした。 本稿では、 近い将来の日常臨床や治療開発の方向性を変える可能性のある重要な演題について、 私見を交えながら解説します。
HER2変異陽性の進行/転移性非扁平上皮NSCLCを対象に、 1次治療としてのHER2特異的チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) ゾンゲルチニブの有効性および安全性を評価した第Ib相試験Beamion LUNG-1の未治療患者 (コホート2) の結果から、 良好な奏効率と忍容可能な安全性が示された。
CDK4/6阻害薬+内分泌療法 (ET) により病勢進行・再発が認められたエストロゲン受容体 (ER) 陽性HER2陰性進行乳癌に対する経口選択的エストロゲン受容体分解薬 (SERD) giredestrant+エベロリムスの有効性および安全性を、 標準的な内分泌療法 (SOC ET) +エベロリムスを対照として評価した国際多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験evERA BCにおいて、 ESR1変異陽性およびITT集団によるPFSの有意な改善が示された。
再発リスクが高いホルモン受容体陽性HER2陰性かつリンパ節転移陽性早期乳癌の術後療法において、 CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+内分泌療法併用の有効性および安全性を、 内分泌療法単独と比較した第III相無作為化比較試験monarchEの結果から、 OSが有意に改善した。
切除不能なHER2発現局所進行・転移性尿路上皮癌 (la/mUC) への1次治療として、 抗HER2抗体薬物複合体 (ADC) disitamab vedotin (DV) +抗PD-1抗体toripalimabの有効性および安全性を、 化学療法を対照に比較評価した中国における多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験RC48-C016の結果から、 DV+toripalimab併用療法によりPFSおよびOSが有意に改善した。

消化器癌領域の中から、 神経内分泌腫瘍(NET)、 大腸癌における2つの注目演題について、 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科の山本駿先生にご解説いただきました。
未治療で切除可能なⅡ-ⅣA期胃・食道胃接合部腺癌 (GC/GEJC) 周術期における抗PD-L1抗体デュルバルマブ+FLOT*の有効性および安全性を評価した国際多施設共同第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験MATTERHORNのOS最終解析において、 死亡リスクが22%低減した。

消化器癌領域の中から、 食道癌/胃癌における7つの注目演題について、 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科の山本駿先生にご解説いただきました。
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (-TKI) 治療後に進行したEGFR変異陽性非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan (sac-TMT) の有効性および安全性を、 プラチナ製剤ベースの化学療法と比較評価した第III相無作為化比較試験OptiTROP-Lung04の結果から、 PFSが有意に改善した。
標準治療後に増悪した高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) またはミスマッチ修復機構欠損 (dMMR) でない転移性大腸癌 (mCRC) を対象に、 第3世代チロシンキナーゼ阻害薬zanzalintinib+抗PD-L1抗体アテゾリズマブの有効性および安全性を、 マルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ単剤療法を対照に評価した第III相無作為化比較試験STELLAR-303の結果から、 OSが有意に改善した。
生化学的再発リスクの高い前立腺癌患者を対象に、 経口アンドロゲン受容体阻害薬エンザルタミド+LH-RH誘導体リュープロレリン併用療法、 またはエンザルタミド単剤療法の有効性および安全性を、 リュープロレリン単剤療法と比較評価した第III相試験無作為化比較試験EMBARKの最終OS解析結果から、 エンザルタミド併用療法でOSが有意に改善した。
FGFR2b過剰発現の切除不能・局所進行または転移性胃癌・食道胃接合部癌 (G/GEJC) への1次治療として、 ファースト・イン・クラスの抗FGFR2b抗体bemarituzumab (BEMA) +mFOLFOX6の有効性および安全性を評価した国際多施設共同第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験FORTITUDE-101の主解析において、 OSが有意に改善した一方で、 より長期の記述的追跡解析において、 この効果の減弱が認められた。

婦人科領域では、 Presidential Symposiumで1演題 (LBA3)、 Proffered Paper Sessionで5演題、 Mini Oral Sessionで7演題が発表された。 本稿では同領域で最も注目を集めたLBA3の第Ⅲ相KEYNOTE-B96試験について解説する。
プラチナ抵抗性の再発卵巣癌患者において、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (Pembro) +パクリタキセル (PTX) 週1回投与±抗VEGF抗体ベバシズマブ併用療法の有効性および安全性を、 プラセボ+PTX±ベバシズマブと比較した第III相二重盲検無作為化比較試験ENGOT-ov65/KEYNOTE-B96の結果から、 ITT集団とPD-L1 CPS≧1の両集団においてPFSが有意に改善した。
根治的化学放射線療法 (dCRT) 後に病勢進行のない切除不能食道扁平上皮癌 (ESCC) を対象に、 抗TIGIT抗体tiragolumab+抗PD-L1抗体アテゾリズマブ併用療法、 およびアテゾリズマブ単剤の有効性と安全性を、 プラセボを対照に評価した第III相プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験SKYSCRAPER-07の結果から、 tiragolumab+アテゾリズマブはPFSを改善しなかった。 一方、 アテゾリズマブ単剤でPFSとOSの改善効果が示唆された。
抗PD-(L)1抗体が不適格の未治療進行トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象に、 抗TROP-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン (SG) 単剤の有効性および安全性を、 化学療法を対照に評価した第III相無作為化比較試験ASCENT-03の結果から、 PFSが有意に改善した。 同結果の詳細はN Engl J Med. 2025年10月19日オンライン版に同時掲載された。
未治療の高リスクHER2陽性早期乳癌患者に対する術前療法として、 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) またはT-DXd-THPの有効性および安全性を、 標準治療 (SOC) であるddAC-THPと比較評価した国際多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験DESTINY-Breast11において、 病理学的完全奏効 (pCR) 率が有意に改善し、 安全性プロファイルも良好であった。
未治療または最小限の治療歴を有する前立腺特異的膜抗原 (PSMA) 陽性転移性ホルモン感受性前立腺癌 (mHSPC) を対象に、 標準治療+放射性リガンド療法177Lu-PSMA-617併用療法の有効性および安全性を標準治療単独と比較評価した国際多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験PSMAdditionの中間解析において、 rPFSが有意に改善した。
未治療の進行ALK陽性非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 第2世代ALK阻害薬アレクチニブの有効性および安全性を、 第1世代ALK阻害薬クリゾチニブと比較評価した海外多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験ALEXの最終OS解析の結果、 アレクチニブはOSを数値上改善し、 安全性プロファイルも良好だった。
シスプラチン (CDDP) 不適格の筋層浸潤性膀胱癌 (MIBC) に対する術前術後療法としての抗Nectin-4標的抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチン (EV) +抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法の有効性および安全性を、 手術単独を対照に評価した第III相無作為化比較試験KEYNOTE-905/EV-303の結果から、 EFSが有意に改善した。
術前療法後に浸潤性病変が残存する高リスクHER2陽性 (HER2+) 早期乳癌において、 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) の有効性および安全性を、 標準治療の抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン (T-DM1) を対照に評価した第III相無作為化比較試験DESTINY-Breast05の中間解析の結果から、 浸潤性病変のない生存期間 (IDFS) が有意に改善した。

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) では、 肺癌領域における現在のクリニカル・プラクティスを考える上で重要な臨床試験の結果 (サブ解析を含む) が複数報告される。 今回は特に注目すべき6つの演題を紹介する(解説 : 国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科医長 吉田達哉氏)。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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