海外ジャーナルクラブ
23日前
Wangらは、 骨転移があるオリゴ転移去勢感受性前立腺癌 (CSPC) 患者を対象に、 転移巣指向療法 (MDT) への塩化ラジウム223 (Ra223) 併用の効果を検証した。 その結果、 病勢進行を遅らせる効果は認められなかったものの、 特定の癌抑制遺伝子変異やT細胞受容体 (TCR) 遺伝子の多様性が治療後の経過に影響を及ぼす可能性が示唆された。 結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
本研究のサンプルサイズは63例と小さく、 予後因子の解析には制限があります。
オリゴ再発ホルモン感受性前立腺癌、 ADT併用SBRTでPFS改善
オリゴ転移CSPCは、 アンドロゲン除去療法を併用しない転移巣指向療法 (MDT) で無増悪生存期間 (PFS) が延長することが示されている。 一方、 骨転移を有するオリゴ転移CSPCの多くは、 MDT後に新たな骨病変を伴い再発する。
そこで、 骨病変を標的とするα放出体であるRa223が、 臨床的に検出できない骨病変に作用し病勢進行を遅らせる可能性を検討した。
再発したオリゴ転移CSPCで骨転移が1ヵ所以上ある患者を対象とし、 定位的アブレーション放射線療法 (SABR) MDT単独群とSABR MDT+Ra223 (6サイクル) 併用群に1 : 1で割り付けた。 主要評価項目は複合PFSとした。
PFS中央値 (mPFS) は、 SABR MDT単独群が11.8ヵ月、 SABR MDT+Ra223併用群が10.5ヵ月、 調整HRは1.42 (95%CI 0.79-2.56、 p=0.24) であり、両群で有意差は認められなかった。
治療関連の有害事象については、 Grade 4以上の有害事象は認められず、 Grade 3の有害事象がSABR単独群の2例 (6%)、 SABR MDT+Ra223併用群の5例 (17%) に発生した。
ATM、 BRCA1/2、 RB1、 TP53に病的変異を有する高リスク群では、 PFSが有意に短かった (HR 5.95、 95%CI 1.83-19.3、 p=0.003)。
また、 TCR遺伝子に多様な再編成を有する患者では、 治療群に関係なくPFSが改善した (調整HR 0.45、 95%CI 0.21-0.96、 p=0.04)。
著者らは 「骨転移があるオリゴ転移CSPCで、 SABR MDTにRa223を併用しても病勢進行を遅らせる効果は認められなかった。 一方、 患者の高リスク変異やTCR遺伝子の多様性が予後のバイオマーカーとなり得ることが示唆され、 詳細なデータ収集の重要性が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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