海外ジャーナルクラブ
2年前
Baumrinらは、 慢性移植片対宿主病 (cGVHD) の患者を対象に、 皮膚病変の重症度による予後予測の有効性を多施設共同前向きコホート研究で検討。 その結果、 紅斑型cGVHDが死亡リスクの増加と関連し、 紅斑の体表面積 (BSA) がNIHスキンスコアよりも予後を正確に予測できることが明らかとなった。 本研究はJAMA Dermatol誌において発表された。
紅斑型cGVHDは予後規定マーカーと言えると思います。 しかしながら、 本研究では9割が白人であり、 limitationにも記載されていますが、 有色人種での紅斑のアセスメントがやや難しいかもしれません。
これまでの研究で、 皮膚cGVHDと死亡率との関連が示されている。 重症度を示す様々な指標の予後価値を評価することは、 リスク層別化に役立つ。
全身性免疫抑制を必要とするcGVHDと診断され、 研究期間中に皮膚病変を有する成人および小児
患者は、 登録時およびその後3~6か月ごとにBSAの推定とカテゴリー別のNIHスキンスコア評価を受けた。
非再発死亡 (NRM) および全生存 (OS)
初回フォローアップ時に、 紅斑型cGVHDには、 NRM (10%BSA増加あたりのHR 1.33、 95%CI 1.19-1.48、 P<0.001) およびOS (同1.28、 1.14-1.44、 P<0.001) と関連がみられたが、 硬化型cGVHDには死亡率との有意な関連はなかった。
ベースラインと初回フォローアップ受診時に収集した紅斑BSAを用いたモデルでは、 NRM率が5%、 OS率が73%の予後情報が含まれており、 予後モデル間の統計的差異はなかった (尤度比検定 χ² 5.9、 P=0.05)。
紅斑BSAの代わりにNIH Skin Scoreを組み込んだモデルは、 NRM率が38%、 OS率が58%の予後情報しか含まれなかった (尤度比検定χ² 14.7、 P<0.001)。
紅斑型cGVHDは死亡率のリスク増加と関連していた。 免疫抑制を必要とする患者において、 ベースラインおよびフォローアップ時に収集した紅斑BSAは、 NIH Skin Scoreよりも正確に生存を予測した。 紅斑BSAの正確な評価は、 死亡リスクの高い皮膚cGVHD患者の特定に役立つと考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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