再生不良性貧血に対する📅レボレード® (エルトロンボパグ) のレジメンを追加しました!お気に入り登録することでオフラインでもご利用いただけます.
薬剤情報
レボレード® (添付文書/適正使用ガイド)
主な有害事象
E1201試験²⁾より引用.
- 肝機能異常 (14.3%).
- 染色体異常 (トリソミー8;1例、Y染色体部分欠失;1例、46XY, inv(10)(p13q24)1例).
適応と作用機序¹⁾
慢性特発性血小板減少性紫斑病 (chronic immune thrombocytopenia : ITP) 及び 再生不良性貧血 (aplastic anemia : AA). 適応及び併用薬によって用量が異なるため注意する.
- stage I及び2a (軽症及び輸血を必要としない中等症) でシクロスポリン (cyclosporine : CyA) に不応例、 もしくはstage 2b (輸血を必要とする中等症) 以上の症例が適応.
- 経口可能なトロンボポエチン受容体の低分子アゴニスト (TPO-RA) .
- TPO-Rの活性化により骨髄幹細胞・前駆細胞・巨核球の分化・増殖を促進し、 多系統の血球増加を促す.
- TPO-RAであるロミプロスチムはATG併用療法の適応はない.
stage I及び2a (軽症及び輸血を必要としない中等症) でCyA不応
- エルトロンボパグ (25mg/日、1日最大投与量100mg)を投与する.
- 16週以内に反応が見られない場合は他の治療に変更する.
stage 2b (輸血を必要とする中等症) 以上
- ウサギ抗胸腺細胞免疫グロブリン (Anti-thymocyte globulin : ATG、 2.5-3.75mg/kg、 5日間) 、 CyA (5mg/kg) 、 エルトロンボパグ (75mg/日) の併用療法を行う.
- 効果判定は3-6ヶ月頃行い、 26週投与しても改善が認められない場合は中止する.
- 染色体異常を持つ造血幹細胞の増殖が誘発される可能性があるため、 免疫病態マーカーが陽性の若年者に対するエルトロンボパグ併用は慎重に行う.
- ATGによるアレルギー予防のため、 ATG投与中はメチルプレドニゾロンもしくはプレドニゾロン1-2mg/kg/日を併用し、 漸減する.
用法・用量
- 既存治療で効果不十分な場合、初回投与量25mgを1日1回経口投与. 1日最大投与量は100mg.
- 食事の前後2時間を避けて空腹時に内服.
- 用量調節時は少なくとも2週間は同一用量を維持し、 25mg/日ずつ増減する.
- 制酸剤、 乳製品、 ミネラルサプリメント、 多価陽イオンを含む製剤との相互作用があるため、 エルトロンボパグ服用前4時間および服用後2時間は摂取を避ける.
副作用とその対策
血栓症
- エルトロンボパグ使用例における血栓症の多くが内服開始後1年以内に発症.
- 先天性および後天性血栓性素因を有する患者 (高血圧、 喫煙、 肥満、 糖尿病、 脂質異常症、 抗リン脂質抗体、 血栓症の既往、 担がん患者) への使用は注意する.
骨髄線維化
- TPO-RAによる慢性的な造血刺激は骨髄のレチクリン線維の形成および線維化を進行させる可能性がある.
- 骨髄線維化を疑わせる所見が出現時は積極的に骨髄生検を行う.
芽球の増加
- TPO受容体は巨核球系細胞だけでなく造血幹細胞にも発現しているため、 白血病患者に使用した場合芽球の増加が懸念される.
- 治療開始前に骨髄穿刺等にて骨髄異形成症候群の可能性を否定する.
染色体異常¹⁾
- 7番染色体異常は予後不良であるため、 投与開始後3-6ヶ月後を目安に骨髄検査を施行する.
臨床試験
概要
- 国内第II/III相単群試験.
- 対象:18歳以上でATGに治療抵抗性もしくは再発又はATG治療が受けられないA患者 (中等症以上) .
- 介入:初回投与量エルトロンボパグ25mg/日. 血小板数に応じて2週間毎に25mgずつ漸増し、 1日最大投与量100mg/日.
- 評価項目:6ヶ月時点の治療反応割合、 血球数変化など.
結果
- 6ヶ月時点の治療反応割合:1系統以上の治療反応47.6% (95%CI 25.7-70.2).
参考文献
- 再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版
- Int J Hematol. 2019 Aug;110(2):187-196.
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最終更新:2022年8月28日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔