インタビュー
20日前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、北里大学病院下部消化管外科 ( 医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門) 教授の佐藤武郎先生に話を聞いた。 (全4回の最終回)
ドイツ留学から帰国した2002年ごろ、 外科治療は開腹手術から腹腔鏡へと移行する過渡期にあった。 腹腔鏡のスペシャリストから技術を学び、 手術だけでなく化学療法との組み合わせについても考えるようになった。
「新規抗がん剤や分子標的薬も登場し、 治療は劇的に変化しました。 この二十数年間、 どの組み合わせが患者さんにとって一番良いのかを、 常に考えながら取り組んでいます。 とてもやりがいを感じています」

進行直腸がんの患者さんに術前の化学放射線療法を行った。 症状は改善し、 肛門温存の手術も無事に終えたものの、 術後に心筋梗塞を発症。 患者さんは亡くなった。
「ものすごく落ち込んでいる私をみて、 患者さんの奥様から、 『術前治療をしている時、 日に日に主人は肉体的、 精神的に元気になり、 先生の外来受診日を楽しみにしていました。 だから、 絶対に医者を辞めるとか、 外科医を辞めるとかなんて考えないで。 主人は先生が大好きで、 この治療を選択した先生ってすごいとみんなに話していました。 先生が選んだこの治療はいい治療に違いないから、 これからも多くの人を救ってほしい』と言われました」
助けられなかった悔しさは今も抱えつつ、 その言葉は、 自分の進むべき道を開いてくれた。

現在は、 臨床研修センター長として、 研修医の採用からキャリア形成まで見据えたプログラムづくりに携わっている。
「人を診られる医師であること、 人として社会人としてどうあるかを重視しています。 つい高い専門性の習得など目が行きがちですが、 書類の提出厳守やコメディカルスタッフや患者さんへの接し方などもしっかり指導しています」
医師7年目以降の若手・中堅医師を対象に、 研修医教育のためのワークショップも開催している。

「次の指導者を育てていくのが自分の役割だと思っています。 次の世代が僕の考えを変えてくれてもいい。 北里が次にどう進むべきかを模索してほしいです」
AIの普及や人口減少に伴う 「医師余り」 時代の到来など、 医師を取り巻く環境は今後大きく変わることが予想される。
「これからの医師は、 スペシャリストとジェネラリストの両方が求められる時代になるでしょう。 何をやりたいのか、 何をやるべきか。 悩ましいですが、 とてもやりがいもあると思います」
「北里大学病院は新しいことに挑戦しやすい雰囲気です。 ぜひさまざまなことにチャレンジしてください。 違うと思ったら道を変えることもできる。 医師とコメディカルスタッフとの関係もフラットで、 悩んだら周囲への相談もしやすいですよ」

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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