【消化器】トリクロサンコーティングの抗菌糸で、 大腸癌のSSI発生率が有意に低下
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2年前

【消化器】トリクロサンコーティングの抗菌糸で、 大腸癌のSSI発生率が有意に低下

【消化器】トリクロサンコーティングの抗菌糸で、 大腸癌のSSI発生率が有意に低下
Miyoshi Nらは、 大腸癌の選択的手術を受けた20歳以上の患者を対象に、 トリクロサンコーティングの抗菌縫合糸による術後手術部位感染 (SSI) 予防の有効性を評価する多施設共同前向き観察研究を実施した. その結果、 抗菌縫合糸はSSI発生率を有意に低下させることが明らかとなった. 本研究は、 J Am Coll Surg誌において発表された.

背景

これまでの無作為化試験で、 正中開腹術後の筋膜閉鎖術におけるトリクロサンコーティング縫合糸のSSI予防効果が評価されているが、 依然として結論に至っていない.

研究デザイン

大腸癌に対する選択的手術を受けた20歳以上の患者が対象とし、トリクロサンコーティングによる抗菌縫合糸と非コーティング縫合糸でを用いた正中線開腹術後の筋膜閉鎖による手術部位感染 (SSI) 予防効果を比較した.

1579例の傾向スコアマッチングを実施した.
 ● コーティング群:926例
 ● 非コーティング群:653例

主要評価項目はSSI発生率、 副次評価項目は入院期間と手術合併症の発生率とした.

研究結果

SSI発生率

  • 抗菌縫合糸群:4.2%
  • 通常縫合糸群:6.74% (p = 0.028)

手術合併症

  • 両群とも重篤な有害事象はなかった.

最終解析 他

  • 最終的なロジスティック回帰モデルでは、 いくつかの変数がSSIの発生に影響することが示された.
  • 6つの第Ⅲ相臨床試験を基にしたメタ解析では4,797人の患者が評価され、 トリクロサンコーティングによる抗菌縫合糸は非コーティング縫合糸に対して有意に優れていることが示された.

結論

トリクロサンコーティングの抗菌縫合糸は、 大腸癌の選択的手術後のSSI発生率を低下させることが明らかとなった.

原著

Miyoshi N, et al, Effectiveness of Triclosan-Coated Sutures Compared with Uncoated Sutures in Preventing Surgical Site Infection after Abdominal Wall Closure in Open/Laparoscopic Colorectal Surgery. J Am Coll Surg. 2022 Jun 1;234(6):1147-1159.PMID: 35703813

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
日本人の研究ということで、 ジャンル関係なくワクワクしますね. 今後の実用化に期待です.
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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