海外ジャーナルクラブ
6日前
Maksymowychらは、 体軸性脊椎関節炎患者を対象に、 MRIで評価した仙腸関節病変に対するイキセキズマブの52週間にわたる治療効果を、 第III相国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験COAST-Vの事後解析で検討した。 その結果、 16週時にイキセキズマブ投与により骨びらんの改善およびバックフィル (骨充填像) の増加が認められ、 52週時点でこの効果がさらに増大した。 試験結果はLancet Rheumatol誌に発表された。
観察期間が52週と比較的短く、 仙腸関節の構造変化が脊椎の強直にどう影響するかが不明である点はlimitationです。
生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬 (bDMARDs) の投与歴がなくX線所見を有する体軸性脊椎関節炎の仙腸関節病変に対するbDMARDsの52週間にわたる効果は不明である。
そこで、 COAST-V試験の事後解析で、 MRIによる仙腸関節の構造的病変に対するbDMARDsのイキセキズマブ (IXE) およびアダリムマブ (ADA) の効果をプラセボと比較した。
12ヵ国84施設で52週間にわたって実施された第III相無作為化比較試験COAST-Vでは、 bDMARDの投与歴がなくX線所見により体軸性脊椎関節炎、 仙腸関節炎、 および非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) への不応・不耐性を示す18歳以上の成人患者が、 以下の4群に割り付けられた。
16週時において、 ADA Q2W群またはPBO群は、 IXE Q2W群とIXE Q4W群に再無作為化された。
事後解析は、 ベースライン、 16週、 52週時点でMRI画像が利用可能な患者を対象とし、 カナダ脊椎関節炎研究コンソーシアム (SPARCC) のMRIスコア (仙腸関節) を用いて、 骨びらん、 バックフィル、 脂肪変性および骨性強直が評価された。
観察例における比較評価には、 ベースライン値、 骨髄浮腫および層別化因子を調整した共分散分析 (ANCOVA) が用いられた。 また、 性別、 HLA-B27 (脊椎関節炎と関連するヒト白血球抗原の一つ)、 およびベースラインの骨髄浮腫によるサブグループ解析が実施された。
2016年6月20日~17年8月22日にCOAST-V試験に登録された341例において、 ベースライン時および16週時に325例 (95%)、 52週時に301例 (88%) でMRIが実施可能であった。 325例中264例 (81%) が男性、 61例 (19%) が女性であり、 平均年齢は41.5歳 (SD 11.6歳) であった。
16週時において、 IXE Q2W群およびIXE Q4W群ではPBO群と比べて骨びらんが有意に低減し (それぞれ、 最小二乗平均値 -0.91 [SE 0.19] vs 0.10 [SE 0.18]、 p<0.0001、 同 -0.57 [SE 0.19] vs 0.10 [SE 0.18]、 p=0.0086)。 ADA Q2W群でも、 IXE群と同様の傾向がみられた。
IXE Q2W群では、 ベースラインから16週時にかけてバックフィルが有意に増加した (最小二乗平均値 0.52 [SE 0.12] vs 0.04 [SE 0.12]、 p=0.0042)。
16週時における骨びらんの低減はPBO群とIXE Q2W群またはIXE Q4W群で有意に異なり、 性別、 HLA-B27ステータス、 およびベースラインの骨髄浮腫スコアによって差がみられた。
52週時において、 IXE Q2W群およびIXE Q4W群のいずれにおいても、 骨びらんの低減およびバックフィルの増加は増大し、 IXE Q2W群の継続で最大となった (骨びらん : 平均値 -1.50 [SD 2.70]、 バックフィル : 同 0.76 [SD 2.09] )。
また、 16週時にADAからIXEに切り替えた患者においても、 骨びらんの低減が認められた。
著者らは 「16週時点で、 IXE投与により骨びらんの低減とバックフィルの増加が観察され、 52週時でこの効果は増大した。 一方で、 仙腸関節または脊椎における骨性強直への効果については、 詳細な解析が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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