海外ジャーナルクラブ
9日前

Ruelらは、 多枝冠動脈疾患患者において、 小開胸による低侵襲冠動脈バイパス術 (MICS CABG) の術後回復を、 胸骨正中切開による冠動脈バイパス術 (CABG) を対照に国際共同無作為化比較試験MISTで検討。 その結果、 術後1ヵ月の患者報告による身体的回復が良好であった。 試験結果はLancet誌において発表された。
MICS CABGへの直接紹介が多く、 低侵襲手術を希望する患者が多かったため、 無作為化に同意・適格となる患者が限られたのはlimitationです。
CABGは一般的に行われる手術だが、 侵襲は大きく、 従来は胸骨正中切開で実施されてきた。 MICS CABGは術後回復を改善する可能性があるものの、 無作為化されたエビデンスは乏しかった。
本試験は、 カナダ・インド・中国・ドイツ・米国・日本の7施設で実施された。 対象は18歳以上で、 血管造影により確認された多枝冠動脈疾患*を有し、 正中切開CABGとMICS CABGのいずれにも適すると判断された患者だった。 血行動態が破綻している患者、 いずれかの術式に禁忌がある患者、 心臓手術の既往がある患者、 同時併施手術を要する患者は除外された。
患者は中央のウェブシステムにより以下の2群に1:1で割り付けられた。
主要評価項目は、 術後1ヵ月の患者報告による身体的回復で、 36項目からなるShort Form Health Survey身体的サマリースコア (SF-36 PCS) により評価された。
術後1ヵ月のSF-36 PCSは、 MICS CABG群45.1点 (SD 8.0) で、 正中切開CABG群42.2点 (SD 9.1) に比べて有意に高かった (平均差2.9点 [95%CI 0.3-5.5]、 p=0.031)。
1ヵ月時点の臨床・安全性の追跡は全例で完了し、 12ヵ月時点では正中切開CABG群の3例を除く全例で完了した。 術後12ヵ月までに、 死亡・脳卒中はいずれの群にも発生しなかった。 主要心臓・脳血管有害事象は、 MICS CABG群で術後1ヵ月以内に1件発生し、 正中切開CABG群では認められなかった。
著者らは、 「本試験の結果は、 適切に選択された患者に対して、 経験豊富なチームによるMICS CABGを選択肢として検討することを支持するものであり、 今後は実臨床への導入、 回復促進のための周術期管理、 長期転帰についてさらなる検討が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。