HOKUTO編集部
18日前

2026年6月に開催された米国糖尿病学会 (ADA 2026) で発表された演題から、 特に注目の発表を小森田祐二先生に解説いただきます。
GLP-1受容体作動薬 (GLP-1RA) は2型糖尿病・肥満症治療の中心となったが、 その多くは注射製剤で、 自己注射への抵抗や冷蔵保管が普及の壁となっていた。 現在唯一の経口GLP-1RAである経口セマグルチド (リベルサス®) も、 ペプチド製剤のため空腹時・少量の水での服用や食事制限が必要である。
そこで注目されるのが、 食事・水分制限なしで1日1回内服できる低分子 (非ペプチド) 経口GLP-1RAである。 ADA 2026では、 大本命オルホルグリプロン (イーライリリー) の第III相ACHIEVEプログラムから2試験と、 追走するelecoglipron (アストラゼネカ) の第IIb相試験、 aleniglipronの第IIb相試験の成績が一挙に報告された。
SGLT2阻害薬との直接比較で優越性を示す
オルホルグリプロンの第III相試験。 メトホルミン併用中の2型糖尿病患者を対象に、 SGLT2阻害薬ダパグリフロジンと40週間比較した。
HbA1c低下において全用量群でダパグリフロジン群に対し非劣性を達成し、 優越性も示した。 一方、 消化器有害事象 (AE) や治療中止はオルホルグリプロン群で多かった。
有効性

安全性

基礎インスリン併用でもHbA1c・体重を改善
オルホルグリプロンの第III相試験。 基礎インスリンを使用中の2型糖尿病患者 (糖尿病罹病期間中央値14.6年、 平均HbA1c 8.5%) を対象に、 プラセボと40週間比較した。 なお、 本試験には日本も参加した。
全用量群でHbA1c・体重ともにプラセボを上回る改善を示した。

経口セマグルチドを上回るHbA1c低下
Elecoglipronの第IIb相試験。 2型糖尿病患者を対象に、 プラセボと40週間比較した。 本試験には日本も参加した。
HbA1cは-0.91~-1.88%㌽低下し、 全用量群でプラセボに対する優越性を示した。 最大用量群では、 参考比較として設定された経口セマグルチド14mg群 (-1.28%㌽) を上回るHbA1c低下を示した。
2桁減量を示し、 36週でもプラトーに達せず
Elecoglipronの第IIb相試験。 肥満症または合併症を有する過体重患者を対象に、 プラセボと36週間比較した。 本試験には日本も参加した。
体重は最大11.8%減少し、 36週時点でも体重減少はプラトーに達しなかった。
最大16.2%減量、 延長試験でも効果持続
Aleniglipronの第IIb相試験。 糖尿病のない肥満症または過体重患者 (平均BMI 39.5) を対象に、 プラセボと36週間比較した。 なお、 本試験に日本人は組み入れられていない。
プラセボ補正体重減少率は45mg群で8.2%、 90mg群で9.8%、 120mg群で11.3%であった。 延長試験では56週時点でも体重減少が継続し、 最大16.2%の減量を示した。
群雄割拠の経口GLP-1RA開発ですが、 現時点ではオルホルグリプロンが頭一つ抜けた大本命です。 同薬は既に米国で肥満症に承認され、 糖尿病でも年内の米国申請が見込まれており、 第Ⅲ相ACHIEVEプログラムが大規模に展開しています。
今回発表されたACHIEVE-2・5は、 メトホルミン後 (SGLT2阻害薬と比較) から基礎インスリン併用の進行例まで、 外来で実際に遭遇する場面でのエビデンスを埋めにきた点で価値があると感じます。 日本でも、 現時点では国内未承認ですが近い将来の登場が見込まれます。
Elecoglipron、 aleniglipronは第II相段階で、 有効性の相場観は見えてきたものの、 まだ一歩後ろという位置付けです。 ただ、 アストラゼネカ社のelecoglipronについては、 2型糖尿病を対象としたSOLSTICE試験、 肥満症を対象としたVISTA試験のいずれにも日本の施設が参加しており、 日本に参入してくる可能性が高いと思います。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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