HOKUTO編集部
5ヶ月前
本連載は4人の腫瘍内科医による共同企画です。 がん診療専門医でない方でもちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けします。 第11回は前回に続き、 虎の門病院・山口雄先生から、 「がん患者さんへの予後告知について」 です! ぜひご一読ください。
>> 前編はこちら
我々医療者は、 患者さんと予後についての会話を避ける傾向にあります。 「患者さんを心配させたくない」、 「希望を奪ってしまうのではないか」、 などその理由はさまざまです。
しかし、 過去の研究では予後告知が患者の不安を増強させることはなく¹⁾、 多くの患者が自身の予後情報を知りたいと考えている、 と報告されています²⁾。 また患者さんは、 実際より長く予後を予測しがちであることも示されています。
したがって我々は予後告知から逃げるべきではなく、 患者さんごとに伝えるべきかを考える必要があるでしょう。
大事なことは、 患者さん自身が知りたいかどうかを確認することです。 告知希望を尋ねる際は、 "余命"、 "あなたの残された時間"という言葉は患者さんにとってショックが強い可能性があります。
💬腫瘍内科医のTips
たとえばこれまで
「ご自身の余命を知っておきたいですか?」
「あなたの残された時間を具体的に知っておきたいですか?」
などのように尋ねていた場合、
「病気が進行し具合が悪くなって、 身の回りのことが自分でできなくなるまでの時間」
などと置き換えて説明すると良いかもしれません。
希望を聞かれてもよく分からない、 と多くの患者さんは答えると思います。 そこで下記のような予後告知のメリット・デメリットを伝えることで、 患者さんは判断しやすくなるでしょう。
💡メリット
🌀デメリット
それらを説明したうえで、 患者さんが希望しないのであれば、 無理に予測予後を知らせる必要はありません。 ただし、 抗がん薬治療から緩和治療に専念していく時期に、 予後数ヵ月と医療者側が考えていたら、 患者さんから 「ここまで治療を頑張ってきたので、 あと数年生きられれば本望です」 と言われることは少なくありません。
患者さんと我々の認識が大きく異なりそうなときには、 予後に関してどのように考えているか、 予後について知りたいと思うか、 改めて確認してみることが重要です。
患者さんに伝えるBad newsの中でも、 予後告知は医師と患者双方に負担のかかる内容です。 我々は上手に伝えられるように技術を磨くとともに、 患者さんの人生を思いやる気持ちを忘れずにいたいものです。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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